関東高校サッカー大会 埼玉県予選 準決勝 武南 vs 聖望学園
関東高校サッカー大会埼玉県予選準決勝。武南高校は新人戦4強の聖望学園を3ー0で下し、7年ぶりの本戦出場を決めた。決勝は2012年以来の大会Vをかけて浦和東高校と対戦する。
開始から前に出たのは武南。前半2分、MF宇田川拓真の浮きパスに右サイドハーフの小宮陽貴が抜け出すと、クロスに1回戦からすべての試合でゴールを奪っている10番のFW大谷涼太がニアに入りながらバックステップでディフェンスを外して、最後は頭で合わせて先制した。
さらに武南は前線からプレスをかけながら高い位置で奪って敵陣に押し込む。前半10分にはMF青野翔太のサイドチェンジを受けた小宮がアーリークロスを送り込むと、大谷のポストプレーからDF相山祐人がエリア外から豪快に突き刺して追加点。15分にも青野、小宮のコンビで右サイドを攻略し、クロスから大谷が自らのヘッドのこぼれ球を押し込んで3ー0とした。
一方、聖望学園は前半25分に早々にカードを切る。怪我明けのFW塚田悠太郎、MF西澤脩瑛を投入。システムも2トップから従来の4ー3ー3に変更すると試合の風向きが変わっていく。27分には塚田のクロスにFW森田悠人がヘディングで合わせた場面は惜しくも枠を捉えることができなかったが、背番号10の個が加わったことにより、水色のユニフォームが息を吹き返す。
攻める聖望学園は後半14分に塚田がエリア内に抜け出すも、ここはDF宝満朋也が長い足を投げ出してシュートは打たせず。16分には森田のシュートがわずかに枠を外れる。その1分後には塚田がドリブル突破からゴールに迫ったが、GK渡辺海斗がビッグセーブで立ちふさがった。
後半は8本のシュートを打たれるも、この日もネットは一度も揺らさせず。1回戦からのクリーンシートを継続した武南が2012年の栃木開催以来、7大会ぶりとなる本大会行きを決めた。
10番大谷が準決勝で2G1A! 4戦連発6得点目「前線の連携はいま本当に良い状態」
これで4戦連続6ゴール目。今季10番を背負うFW大谷涼太が武南の攻撃を牽引している。
この日も開始2分にヘディングで先制点を決めると、10分にはエリア内でしっかりボールを収めて味方の得点をお膳立て。15分には再びクロスに頭で合わせ、こぼれ球を自ら詰めて2ゴール、1アシスト。「いま本当に距離感が良くて、ここに出したら次に自分がどうすればいいかが明確にわかっているので、本当に良い状態かなと思います」とチームの連携に胸を張った。
今季は裏抜けに加え、強豪と渡り合うべく背負うプレーを強化。身体も一回り分厚くなり、抑えられる敵が増えてやりがいを感じているという。また、チームメイトのMF矢地柊斗からタイミングの良いヘディングの入り方を教わるなどプレーの幅を広げて、より頼もしい存在に。
昨年のS2リーグ最終節では「来年は自分がトップで出て、自分のゴールでチームの勝利に貢献したい。絶対に埼玉の1位を目指していく」と語っていたが、その頂点まであとひとつだ。
積極クロスで3点に絡んだ小宮 「悔しさ」を力に変えてトップチームに貢献
また、積極的な姿勢で3点に絡んだのが右サイドハーフの小宮陽貴だ。
「栄戦でちょっと感触が掴めて、前回の試合で自信がついた。今週は練習からドリブルとかも調子がいいなと感じていたので、今回はもっとガンガン行ってやろうと思っていました」。
先制点はエリア右から精度の高いピンポイントクロスでアシスト。決めた大谷も「1点目はほぼ小宮くんのゴール」と絶賛した。このゴールでチームを勢いづかせると、縦への動き出しで味方のパスを引き出しながら2点目、3点目もやはり右サイドの小宮のクロスからだった。
昨年はインターハイのメンバーに入りながらも、選手権では26名のリスト入りはならず。「最初はトップチームにいたんですけどそこでは出場機会はなくて、Bチームに回って半年間修行して、自分たちの代でやってやろうと思っていた。新人戦も怪我をしていて、途中出場でもなにもできなくて。そこでもまた悔しくて、悔しくて。その悔しさがこういう形で試合に出て、いまトップチームの勝利に貢献できているというのは本当に自分の中で嬉しいこと」と小宮。
悔しさを成長材料に変えて、チームの関東大会出場に貢献してみせた。
石黒登(取材・文)
試合結果
武南 3-0 聖望学園
3(前半)0
0(後半)0