平成30年度 埼玉県高校サッカー新人大会準決勝 西武台 vs 昌平
高校サッカー新人大会準決勝。昌平高校は6ー0と西武台高校に快勝し、決勝進出を決めた。
1回戦で6ー0、準々決勝で9ー0と大勝した昌平が西武台戦でもその攻撃力を見せつけた。
立ち上がりに良い形を作ったのは西武台だったが、昌平はそこを凌ぐと前半33分にMF紫藤峻がネットを揺らして先制。その1分後には左サイドバックの大竹琉生の見事なサイドチェンジからFW小見洋太が落ち着いて右足で沈めると、さらに36分にはMF大和海里のスルーパスに抜け出した大竹が左足で突き刺して、先制点からの3分間で3点を奪って西武台を突き放す。
西武台は後半開始早々にFW寺川洋人がエリア内で仕掛けてペナルティーキックを獲得したが、ゴール左を狙ったシュートはGK牧之瀬皓太が完璧なタイミングでセーブして追撃を許さず。
すると昌平は後半10分、MF鎌田大夢のゴール前でのアイディア溢れるヒールパスに走り込んだ大竹がこの日2ゴール目をマーク。11分には今大会キャプテンマークを巻く大和が個人技で抜け出して最後は右足で沈めて5ー0とし、前半戦に続く連続ゴールで試合の趨勢を決めた。
後半途中からは日本高校選抜の試合から駆けつけた10番のMF須藤直輝も出場。積極的な姿勢を見せていくと、33分にはゴール隅に流し込んで6ー0とし、ゴールショーを締めくくった。
藤島崇之監督は「チームとして非常に良い形で点が取れた。2つ3つと攻撃を緩めずにできたのが良かったと思います」と、前半の連続得点がチームに大きな流れを呼んだと振り返った。
3戦7発と新ポジションで得点爆発 大竹琉生は「チームで一番点を決められる」SBに
3戦7発という数字だけ聞くとどんな傑物ストライカーが出てきたのかと想像するが、これを残したのは実はサイドバックだ。今年、左サイドバックに転向した大竹琉生が躍動している。
ジュニアユース年代はバリバリの点取り屋、昨年もフォワードとしてプレーした中で、今年からは新たにサイドバックに挑戦中。すると新シーズン公式戦初戦となった1回戦の熊谷工業戦でいきなり2ゴールを記録、さらに2回戦の西武文理戦ではハットトリックを達成すると準決勝でも2ゴールを叩き出した。決勝はゴールはなかったが、7得点で堂々の得点王に輝いた。
得点力開花について大竹は「今年はドリブルする人が多くて、数的優位を作れる状況が多いのでサイドがフリーになる」と分析する。また、パンチ力と正確さを併せる左足のキックも大竹の武器のひとつだ。1回戦で強烈なフリーキックをゴール上段に叩き込んで応援席をざわつかせると、この試合では鋭いサイドチェンジを小見の足元にピタリと通して2点目を演出した。
もちろん始めてまだ2ヶ月弱。「もう少しプレーを整理しなければいけないところもある。個の打開とグループ、その辺りのメリハリをつけられるようになれば」と指揮官が言うようにやらなければならないことはあるが、逆に言えばそこは今後への伸び代として楽しみな部分。
理想のサイドバックについて聞くと「そういうのはないですけど、チームで一番点を決めて、一番貢献できる選手になりたいです」と笑顔で語った。新ポジションでも点取り屋宣言した昌平の切れ味鋭い懐刀は既成概念に囚われず、自分なりのサイドバック像を打ち立てるつもりだ。
石黒登(取材・文)