平成30年度 埼玉県高校サッカー新人大会準決勝 川口 vs 大宮南

新人大会・南部支部予選準決勝。大宮南高校は川口高校に3ー0で勝利し決勝進出。翌日行われた決勝戦では国際学院高校を2ー0で下し、2年ぶりの県新人大会出場を支部Vで飾った。


大宮南は序盤からFW澤野秋翔やMF見目大輔、三輪勇太が連続してチャンスを迎える。川口はGK深見陽大が好守を見せてゴールを守ったが、前半15分に「相手が中に弱いのが試合中にわかった」というFW長倉拓摩がエリア左手前でボールを受けてドリブルでカットイン。右足を振り抜くとシュートはディフェンスに当たってコースを変えながらゴールに吸い込まれた。

後半立ち上がりは1点を追う川口が前に出たが、大宮南はここをしのぐと8分に右サイドを駆け上がったDF宮崎淳史のクロスに、ニアポストに走り込んだ澤野が頭で合わせて追加点とする。

その後も相手のカウンター攻撃にはセンターバックの大和田蓮斗、真島蒔人を中心に後ろの4枚が早い準備と的確なカバーリングで攻撃の芽を潰してチャンスらしいチャンスは作らせず。

後半24分には途中出場の2人が魅せた。見目とのワンツーで右サイドを抜けたFW高橋昌希のクロスに、1年生MFの浅倉要が「練習でもいつもファーにクロスが上がる意識でやっている。ファーにちょうど来たのであとは決めるだけでした」と、ドンピシャのタイミングでヘディングを叩き込んでダメを押した。3ー0で快勝した大宮南が2年ぶりとなる県大会出場を決めた。

「いつも通りできました」とした田中龍太郎監督だが、ひとつ例年のこの時期と違うのは選手層の厚さだろう。今予選ではメンバー登録26人全員が出場。準決勝でも交代枠5枚を使い切ったが、最後までチーム力は落ちず、むしろ途中出場の2人がわかりやすい形で結果を残した。

「この時期はいつも12、3人しか使えない中で、今回はいろいろなやつをスタートで出しながら26人を出した。そんなのは初めてです。うちのチームとしては層が厚いので、そういう意味では頼もしさもあります」と指揮官。県大会にはどのようなスタメンで挑むのか、楽しみだ。

「もっと試合を決定づけられる選手に」怪我に泣いた澤野が捲土重来の1年にかける

1―0で迎えた後半8分、クロスにニアポストに走り込んでヘディングで合わせ勝負を決めた。2年ぶりの県新人戦に澤野は「どれくらいやれるか楽しみ。一緒にトレセンでやってきた人たちも多いので負けないようにプレーしたい」と、ライバルたちとの対戦を心待ちにした。

県トレに選出、1年時から10番を背負うなど大きく期待されたが、昨年は4月の負傷で長期離脱を強いられ復帰したのは選手権前。「去年は全然試合にも絡めなかった。結局最後の選手権の時に10番を外されて13番でした」。チームは16強に進出したが悔いの残る1年となった。

まだ完治した状態での復帰ではなかったため「点は取っているんですけど、まだ絶好調のプレーじゃない。普通に良かったなって思っても7割くらいしかできていない」と自身の考えるトップフォームからは遠いが、「今後まだ上げていけるなと思っています」と前向きに捉える。

「もっと試合を決定づけられる選手になっていかないとダメかなって思っています」。翌日の決勝では2試合連続弾となる先制点をマーク。まずは大宮南の支部制覇に貢献してみせた。

「もう今年はラスト。高校サッカーをできるだけ長くやりたいので、みんなで上まで行けるように頑張っていきたいです」。昨年は怪我に泣いたエースが捲土重来、最後の1年にかける。

石黒登(取材・文)

試合結果

川口 0-3 大宮南