平成30年度 埼玉県高校サッカー新人大会準決勝 正智深谷 vs 聖望学園

高校サッカー新人大会準決勝。正智深谷高校(選手権予選8強)と聖望学園高校(西部支部2位)の一戦は延長戦の末に正智深谷が3ー2で逆転勝ちを収め、2年ぶりの決勝に進出した。

ゲームはいきなり動いた。聖望学園は前半1分、右ウイングの坂本龍馬のグラウンダーのクロスに、この攻撃の起点となった10番のMF塚田悠太郎が合わせてゴールネットを揺らした。

早々に先制した聖望学園だが、前半10分過ぎにMF菅間一輝が負傷離脱するアクシデントが。一方、正智深谷は徐々に試合巧者ぶりを発揮。出足早くセカンドを回収し、右サイドのMF佐々木達也、DF大塚天翔が連続してクロスを上げていくなどサイドアタックで揺さぶりをかける。

すると正智深谷は前半31分、ゴール前のこぼれ球を今年、サイドバックからトップに転向した金田奎人が中央で拾うと、鋭い反転から右足シュートで突き刺してスコアをタイに戻した。

畳み掛ける正智深谷は後半34分、MF波多野晟愛のコーナーキックからDF猪爪悠真のヘディングが枠を捉えたが、聖望学園GK本田翼が好反応。続けざまのセットプレーではこぼれ球を波多野がエリア外から狙うも、今度は塚田がゴールライン上でクリアして勝ち越し点は許さない。

それでも正智深谷は前半40分、MF津川勇作のコーナーキックに少し膨らみながら走り込んだキャプテンのDF山田裕翔が打点の高いヘディングを叩き込んで逆転し、2ー1で折り返した。

後半は立ち上がりこそ正智深谷が優位にゲームを進めたが、聖望学園も代わって入ったFW小島大和や塚田の両翼が積極的に仕掛けていくなど、だんだんと前への圧力を高めていく。

後半36分に塚田のクロスにつま先で合わせたFW森田悠仁のシュートはわずかにポスト外。試合はそのままアディショナルタイムに突入したが、聖望学園は41分にロングボールに塚田が競ると、裏に抜け出した小島が決めて土壇場で追いつき、勝負の行方は延長戦にもつれ込んだ。

二転三転したゲームに決着がついたのは延長前半7分。正智深谷は波多野のパスに抜け出した津川が決勝弾。準々決勝に続き、2戦連続の逆転勝ちを収めた正智深谷が激戦をものにした。

逆転勝利も「自分たちで苦しくしてしまった」と山田裕翔 反省生かし決勝での零封誓う

「勝利できたことはひとつ大きなことなんですけど、自分たちでゲームの内容も苦しくしてしまった」と主将の山田裕翔。勝利については喜びながら、内容に関しては課題が多く残った。

前半早々に切り替えの部分を突かれて失点をすると、同点とした後の後半40分には自らのヘディングで一度は勝ち越したが、後半終盤に再び追いつかれ、延長戦の末に辛くも勝利を掴んだ。

「セットプレーで取れたことは大きかったと思うんですけど、守備のリスクマネジメントだったり、攻撃時のビルドアップは非常にミスが多かった。前半も自分のパスミスからリアクションをもらってピンチを招いたりというのがあったのでそこはまだまだ課題だなと思います」。

小島時和監督も「まだまだすべてにおいて新人の時期のダメなところが今日は出てしまった。勝ったから良かったものの、これで勝ちきれなかったら本当に今年はどうなっちゃうのという感じの試合。もっともっとサッカーを理解させないといけない」とチームに叱咤を送った。

それでも決勝に進んだことで反省を生かす機会はまだある。「2試合連続失点をしているというのは個人としては悔しいので明日はしっかりと後ろは0で抑えて、良い守備から良い攻撃で点を取って勝てればいいと思います」と山田。今大会3戦22ゴールと高い攻撃力を誇る昌平高校を相手に零封で勝利に導けるか。「譲れない」と語るヘディングでのゴールにも期待したい。

石黒登(取材・文)

試合結果

正智深谷 3-2 聖望学園

2(前半)1
0(後半)1
1(延長前半)0
0(延長後半)0