平成30年度新人体育大会決勝 常盤中 vs 原山中

平成30年度新人体育大会決勝が18日、埼玉スタジアム2002で行われ、主将のFW平石陸人が全得点に関わる活躍を見せた原山中学校が3ー1で常盤中学校を下し、大会初優勝を飾った。


序盤は一進一退の中、まず先手を取ったのは原山。支部予選でも躍動した平石、FW松本力哉のスピードと強さを生かした縦に速い攻撃で相手を押し込んでいくと前半22分、平石のスルーパスに抜け出したMF渡邊陸がキーパーの動きをよく見て落ち着いて決めて、試合を動かす。

一方、常盤もセカンドボールの回収意識が高く、奪ってはチームの中心であるFW安井敏志が切れ味鋭いドリブルで何度もエリア内に切り込み、ミドルシュートなどでゴールを狙っていく。終盤は常盤が押し返す形となったが、前半はそのまま1ー0と原山リードで折り返した。

後半も原山ペースで試合は展開。7分にはセットプレーのカウンターから平石が左サイドを独走しゴールに迫ると、その2分後には松本が決定機を迎えるが、ここは常盤GK宮﨑幸之介が弾き出す。11分にはシュートのこぼれを平石が詰めたが、これはオフサイドの判定となった。

それでもここを凌いだ常盤は後半14分、左サイドを抜け出した安井のクロスが相手守備に弾かれたところをMF小林蓮が豪快な右足ボレーをネットに突き刺して、試合を振り出しに戻す。

同点に持ち込まれた原山だが、その後も焦ることなく攻撃を展開していくと再び勝ち越しに成功した。後半20分、右サイドを駆け上がった平石のダウラウンダーのクロスに合わせたのは市川紘希。ハーフタイム明けから一列ポジションを上げた10番の一撃で再びリードを奪った。

終了間際の後半28分には左サイドを抉った平石が右足で冷静にニアサイドを撃ち抜いて駄目押しの3点目。終始攻撃で押し切った原山が3ー1で勝利し、新人大会初Vの瞬間を迎えた。

「本当に嬉しい。やっぱりここを目指せる選手たちだったので、ここでやらせてあげたかった」と赴任7年目の北野邦旭監督。今大会は1回戦からすべての試合で複数得点、6試合で合計26点と攻撃力が光った。平石、松本の前線は支部予選から通じて相手の脅威になり続けた。

「新人戦は攻撃で勝とうということで、1点取られても2点、2点取られても3点とやってきた。ここから先はまた別のアプローチでやっていかないと勝てない。足りない部分を補いながら、自分たちのストロングは消さないようにやっていきたい」(北野監督)。前線の力強さは生かしつつ「守備からのビルドアップ」「中盤の横の繋ぎ」を今後の成長ポイントに挙げた。

支部予選から全試合得点を記録! 攻撃牽引した、平石はさらなるレベルアップを誓う

「市予選の時も『嬉しいです!』って言ったんですけど、やっぱりもうそれを上回る嬉しさでしたね」。この日のすべてのゴールに関わった殊勲の9番はそう言って笑顔を弾ませた。

序盤は「相手に対策されて個人としては難しかった」という中で前半22分にスルーパスで渡邊のゴールをお膳立て。後半は左右両サイドから武器のスピードで連続して仕掛けると、14分に同点とされたが、その6分後に右クロスから市川の得点をアシストし再び勝ち越しに繋げた。

終了間際には自ら抜け出して右足でキーパーのニアを抜いてダメ押し。「正直綺麗な形ではなかったんですけど、この埼スタのピッチでゴールを取れたっていうのは人生の中でも良い思い出になるし、それをやっぱり決勝の舞台で取れたのは最高でした」とその瞬間を振り返った。

ちなみにこの得点で支部予選からの11試合すべてでゴールを記録。予選は5試合で7ゴール、県でも「スピードと得点力」を見せたいと言っていたが、迎えた今大会は1回戦でいきなりハットトリックをマークすると、2回戦は4得点、3回戦、準々決勝が2得点、そして準決勝、決勝がそれぞれ1点ずつと計13ゴール。抜群の決定力を見せつけてチームを引っ張った。

「ヨーロッパ系の人はやっぱりテクニックがあるし、逆に南米系の人たちはずるがしこさとか頭の良さを持っている。そういうところを見習いたいですね」とその両方を目指すスケールの大きいセンターフォワードは「もう県でも僕たちはマークされる存在になると思うので、少しずつでもいいから何かを変えていかないと勝てなくなってしまう。個人としてもスピードだけじゃ通用しなくなる時が来ると思うので、ひとつひとつの能力とか技術を上げられたらもっと良い選手になれるかなと思います」と、来夏までのもう一段、二段のレベルアップを誓った。

予選7位も勝つごとに成長していった常盤 田中監督「収穫の方が多い大会だった」

今大会常盤はさいたま市7枠のうち7位からの出場。そんな中でも一戦一戦勝つことに逞しさを増し、準々決勝では支部で敗れた同予選2位の大原中学校にリベンジ。準決勝では連覇を狙った伊奈小針中学校を退け、優勝した平成20年大会以来10年ぶりとなる決勝進出を果たした。

予選1位の原山との決勝は先に失点をするも「一番の収穫は戦う姿勢や勝利を求める姿勢が子供たちから出てきたこと」と指揮官が言うように球際でファイトを見せ、小林が豪快な一発を突き刺して一時同点にする場面も。10番の安井もキレのあるドリブルで非凡な能力を見せた。

1ー3で敗れはしたが、田中秀幸監督は「課題はやっぱりたくさんあるんですけど、それよりも子供たちのたくさんの良い発見ができた。一戦一戦勝ちながらこんなに成長してくれたのがすごく嬉しい。本当に収穫の方が多い大会だったと思います」とチームの成長に目を細めた。

石黒登(取材・文)

試合結果

さいたま市立常盤中 1-3 さいたま市立原山中
0(前半)1
1(後半)2

優秀選手