第97回全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県1次予選会 代表決定戦 浦和 vs 坂戸西
選手権1次予選会・代表決定戦。県立浦和高校と坂戸西高校の一戦は、前半31分のMF片山拓也のゴールが決勝点となり、浦和高校が1ー0で勝利。この結果、県大会進出を決めた。
代表決定戦らしく固い展開となる中で「決めるべきところで決め切る」部分が勝敗を分けた。
前半良い入りを見せたのは県立浦和。ボールを保持しながら試合を展開すると先制点は31分。サイドチェンジから右のMF小峯拓也にボールが入ると、クロスに飛び込んだのは片山。一度はキーパーに阻まれたが、すぐさま体勢を立て直してこぼれ球を右足で詰めて試合を動かす。
さらに浦和は前半38分にMF長谷川和毅が強烈なミドルシュートを放っていったが、これは惜しくも枠を捉えることができない。前半は1ー0とリードした状態で試合を押し返した。
迎えた後半は一転、同点弾を狙う坂戸西が攻勢に。積極的に前からプレッシャーを掛けながら連続してゴール前に迫ると、12分にはその直前に投入されたばかりのFW石川和輝がミドルシュートを狙ったが、これは県立浦和GK中島紘夢がかろうじて弾き出してゴールとはならず。
浦和は後半、セカンドボールの回収に苦しむなど押し込まれる時間が増えたが、キャプテンの岸本和真らディフェンスラインを中心に後ろでしっかりと跳ね返して得点は許さない。
後半35分には坂戸西MF田代幸輝のシュートが枠を捉えたが、再びGK中島がスーパーセーブで立ちふさがった。試合は1ー0のままタイムアップ。前半、後半とそれぞれ自分たちの時間帯を作った中で決定機を着実にゴールに結びつけた浦和が2次トーナメントに駒を進めた。
本田哲也監督は「きちんと決めるべきところで決め切れた」部分を勝因に挙げつつ、「前半は良かったですけど、後半みたいな戦い方をしていたらやられてしまう。締めるところは締めて、伸び伸びやれるような自信をつけられるようにしたい」と、県大会までの課題を語った。
2年前の2次予選では2回戦で市立浦和高校を倒して16強に進出。当時1年生だった岸本は「特に市立浦和を倒した時はかっこよかった。僕たちも3年生になったらああいう試合がしたいと思った。インターハイが本当にあっけなく終わってしまったので、もう必死にみんなで頑張ろうと思います」と先輩たち越えのベスト8を目指し、一戦一戦戦っていくことを誓った。
「決め切る」部分で違い見せたMF片山 今予選はチームの全5得点を記録する活躍!
予想通り固い展開となる中で、今予選好調の片山がこの日も相手ゴールをこじ開けてみせた。
前半31分、クロスに飛び込むと、一度キーパーに弾かれるも、こぼれ球に詰めて決勝点。2回戦・狭山経済高校戦(4ー0)でも4得点を奪っており、この日の1点を含め、サイドプレーヤーながら今予選はチームの全5得点をひとりで挙げるなど、獅子奮迅の働きぶりを見せた。
「(これまでも)得点は取れてはいたんですけど、外す場面とかもあった中で、今大会はわりと確実っていったらあれですけど、少ないチャンスをものにできたなと思います」と片山。
決定力はもちろん、一瞬のスピードやプレッシャー下でも精度の高いプレーを完遂できる技術の高さがある。また、「ディフェンスも寄せてくれるし、そこで取り切ってくれるシーンも多い」と主将の岸本が語るように守備での貢献度も高く、攻守両面で頼もしいプレーヤーだ。
目標の8強実現にはこれまで以上に少ない好機を決められるかという部分が大きな鍵となってくる。そういう意味で今回「決め切る」部分で違いを見せた片山の5得点というのは県大会に向けての好材料だ。この1ヶ月半でさらに得点感覚を研ぎ澄まし、再びチームを勝利に導く。
石黒登(取材・文)
試合結果
県立浦和 1-0 坂戸西
1(前半)0
0(後半)0