第97回全国高等学校サッカー選手権大会 埼玉県1次予選会 1回戦 坂戸 vs 春日部共栄

選手権1次予選会1回戦。和光高校会場第2試合は、坂戸高校が春日部共栄高校を3ー0で下して2回戦に進出。坂戸は続く鳩ヶ谷高校戦も3ー0で勝利し、代表決定戦行きを決めた。


前半は両軍ともになかなか決定機には至らず。坂戸は13分にFW佐藤大登の突破からFW田代孝太朗がチャンスを迎えるもシュートは惜しくも枠外に。春日部共栄は33分にMF増渕永和のフリーキックにニアサイドでFW前田蒼馬が合わせたが、こちらも枠を捉えることができない。

後半もスコアレスのまま進む中で、ついにその均衡が破れたのは17分。坂戸はフリーキックから相手のクリアミスを拾ったMF新川大夢がワントラップから右足でズドン。「先生からは後半勝負と言われていた。後半は極力何も考えず、サッカーのことだけを考えていたのがよかったのかなと思います」。「リラックスして打てた」という新川の豪快な一発で先制に成功する。

これで勢いに乗ると後半40分には追加点。左サイドバックの有坂凌が敵陣で相手のパスをインターセプトすると、佐藤とのワンツーを選択。リターンをしっかりとコントロールすると、インターセプトからの一連の流れがすべてイメージ通りだったという形をゴールで完結させた。

さらに後半43分にはカウンターからMF荒井優太がドリブルで運んで佐藤にサイドチェンジ。ボールは伸びたもののしっかりと収めると、慌てずにひとつ切り返して左足できっちりと沈めて駄目押しの3点目。後半半ばから一挙3得点を奪った坂戸が3ー0で快勝し初戦を飾った。

「初戦ということで苦しいゲームになるのは間違いないと思っていた。残り20分で決着をつけるようにまずは我慢する、そういうことを想定して選手には伝えました」と大久保亮祐監督。予想通り前半は初戦の固さもあって難しい展開となった中で、後半は勝負所を見逃さずにしっかりと3得点を奪っての勝利。「選手がよく理解してくれていた」と試合運びを振り返った。

今年で大久保監督が赴任して3年目。いまの3年生は1年生から見ている選手たちだ。「力はないんですけど、やっぱり2年間一緒にやってきたというところと、真面目さが本当に高かったので、それでいま伸びてきているところはある」と指揮官はいう。続く2回戦はシード校の鳩ヶ谷を3ー0で下し県大会に王手をかけた。29日の代表決定戦では小川高校と対戦する。

背番号10のセンターバック・馬場が声に、プレーにチームを牽引!

「やっぱりどう頑張っても選手権は緊張してしまう部分はある。その辺は気持ちの部分で勝つために、部長としてもそうですし、しっかり声を出して頑張れたから0で抑えられて、後半3点取れたのかなと。そういう意味ではディフェンスとして役目を果たせたかなと思います」。

後半勝負を仕掛ける上で、重要になるのがいかに失点しないか。選手権初戦でチームに固さが見られる中で相方のDF寄持健太と最終ラインで身体を張り、声で鼓舞し続けたのがキャプテンの馬場琉斗だ。先制後も緩ませることなく声をかけ続けてクリーンシート、勝利に貢献した。

中学は主に真ん中のポジションを務めていたが、高校年代ではそのクレバーさ、気の強さを買われセンターバックに抜擢。「彼がいるといないとではゲームのクオリティーが全然違う。よく僕の言っていることを代わりにやってくれたりしますね」と大久保監督も絶大な信頼を置く。

センターバックで10番。気になる背番号については指揮官の遊び心もあるそうで、本人も「背番号というよりはセンバーバックとしてしっかりと役目を果たすだけ」というが、苦しい局面でも声を張り上げてチームを鼓舞、まとめ上げ、牽引していく姿は頼もしいNo.10のそれだ。

「良いプレーはなかなか緊張して出せないと思うんですけど、その中でも全員が気持ちを高めてやれば勝てないことはないと思うので頑張りたい」と馬場。目標の県大会まではあとひとつ。代表決定戦でも最後まで仲間を盛り立てて、チームを5年ぶりの決勝トーナメントに導く。

石黒登(取材・文)

試合結果

坂戸 3-0 春日部共栄

0(前半)0
3(後半)0