第8回浦和トレセン交流大会
第8回浦和トレセン交流大会が7日に荒川総合運動公園サッカー場で行われ、バディーSC(神奈川)が大会初優勝。同じく初Vを狙った浦和レッズJrは昨年に続き決勝で涙を呑んだ。
今年も浦和の東西南北トレセン、FC浦和に加えて、浦和レッズJr、大宮アルディージャJrの地元J下部チーム、横浜F・マリノスプライマリーや柏レイソルA.A.TOR’82、柏レイソルU-12、三菱養和SC調布Jr、バディーSCといった県外強豪を合わせた16チームが熱戦を繰り広げた。
雨天中止となった第5回を除き、大会3連覇中の大宮アルディージャJrが2位トーナメントに回る中で、1位トーナメントに進出したのは浦和レッズJr、柏レイソルU-12、FC浦和、バディーFCの4チーム。決勝はともに初優勝を目指す浦和レッズJrとバディーSCの戦いとなった。
試合は後半にかけて浦和レッズJrがペースを握るもスコアは動かず、10分間の延長戦に突入。均衡が破れたのは延長前半3分だった。バディーSCは果敢なカットインからPKを獲得すると、きっちりネットに突き刺してこれが決勝点。1ー0で勝利し、大会初制覇を果たした。
「相手がJクラブやトレセンチームということ、あとは素晴らしい環境でサッカーができるということで選手たちはすごく楽しみにしていた大会だった」とバディーSC・南雲伸幸監督。決勝は前半、後半と選手を総入れ替えし、全選手をピッチに送り出した。「今年はチビリンピック全国大会で3ピリオド制の経験もあって、底上げがちょっとずつできてきている。あとはその中で競争しながら選手が育っていけばいい」と、チーム力のアップに手応えを口にした。
一方、浦和レッズJr・村松浩監督は「失点してからは追いつこうとして攻撃が単調になってしまった」としながら、「レベルの近い相手とやる中で個人個人がちゃんと判断してサッカーをしているかを評価するには良い環境だった。そういう意味では今後の強化に繋がる」とした。
求められるのは「攻守においての判断」「正確な技術の発揮」
この年代で求められるものは何か。決勝を戦った2人の指揮官は揃って「判断」と答えた。
「いかにゴールから逆算してチームで点を取るのか。W杯のルカクのスルーじゃないですけど、あそこでニアに入っていくことでチームとして点が取れる。あれがサッカー。これから8人から11人になっていく中でより一層判断が大事になってくる」とバディーSC・南雲監督。低学年のうちは個を育てる中で、この年代は選択肢を持つための判断を重視しているという。
浦和レッズJr・村松監督も同様に「チーム戦術というよりは個人戦術の攻撃と守備、それぞれその局面、状況に応じてしっかりと実践できるかがこの年代で取り組んでいくべきこと。そのポジションでやるべきこと、守備なら人につかなきゃいけないのか、スペースにいかなきゃいけないのか、選手たちがどうジャッジしてプレーするかなというのを見ている」と語った。
また、村松監督はもうひとつ「正確な技術の発揮」を挙げる。「W杯を見て思うのはサッカーが早くなったなという印象。でも日本がそれに準じて早くサッカーをするのが本当にいいかどうかはまた別の話という感じがします。グループでうまくショートパスを繋いでボールを動かして、隙間を縫ってゴールを目指すのが日本の得意な部分。細かく早く動かすためにはその精度が高くないといけない。ましてや大柄な諸外国の選手のプレッシャーにビビってパスがブレれば持ってかれてしまう。その中でもやれるような、正確に発揮できる選手を育てるためには、この年代で基本的な部分はしっかりと擦り込んでおく必要があると思っています」。
「攻守においての判断」と「正確な技術の発揮」。これから11人制サッカーに移行していく上で、そしていつか日本がW杯16強の壁を突き破る上でも、この2つは重要なキーワードとなりそうだ。
石黒登(取材・文)