平成30年度全国高校総体サッカー大会 埼玉県予選準々決勝 浦和南 vs 正智深谷
インターハイ予選準々決勝。浦和南高校と正智深谷高校の一戦は、3ー1で浦和南が勝利しベスト4を決めた。浦和南はFW佐藤智隆の2発を含む前半3得点、正智深谷は後半にMFオナイウ情滋が1点を返したが反撃及ばなかった。浦和南は準決勝で立教新座高校と対戦する。
開始早々のチャンス3本を着実に決めた浦和南が、久しぶりの全国に向け4強入りを決めた。
先制点は前半5分。縦パスから一気にエリアに侵入した佐藤は「立ち上がりはゴールキックを取ることが目標。キーパーが右にいたので、最悪ゴールキックでもいいという気持ちで左に打ちました」。右足のシュートはそのまま対角に突き刺さり、浦和南がいきなり試合を動かす。
さらに浦和南はその3分後にMF田代幹人のフリーキックからDF庄司千暁が今大会2点目を頭で決めて追加点。前半10分以降は耐える展開となったが、19分には左サイドのMF草野皓の横パスを受けた佐藤が鋭く反転し、ノンルックから右足で叩き込んで早々に3ー0とした。
一方、正智深谷も後半に猛攻を仕掛ける。5分のFW田中泰斗のシュートはわずかに右に。その後もオナイウが左右に顔を出しながら前線に推進力を与えていくと、17分に正智深谷のスピードスターがついに1点を返した。左サイドでボールを受けたオナイウは一瞬の加速でディフェンスを剥がすと、最後はキーパーの位置を確認しながら右足で流し込んで大きく咆哮した。
畳み掛ける正智深谷は後半25分、今度は右でボールを持ったオナイウがドリブルでひとりかわすもシュートはキーパーの正面。28分にはMF佐藤亘輝が左サイドでチャンスメイクするがラストパスが通らない。終盤はセンターバックの福田零雄那を前線に上げてパワープレーに出たが、アディショナルタイムのヘディングシュートはクロスバーをオーバーし、地面を叩いた。
後半は押し込まれながらも粘り強く耐え、序盤のリードを守り切った浦和南が3ー1で勝利。2009年の近畿まほろば総体(第2代表として出場)以来となる全国出場に王手をかけた。
2点目はアグエロ意識 FW佐藤が公式戦初の2発で勝利に導く
「自分が一番びっくりしています(笑)」。この日2得点のFWは試合後そう言って笑った。
早々の先制弾でチームを勢い付けると、2点目はW杯で見たプレーが生きた。お手本としたのはアルゼンチン代表FWセルヒオ・アグエロがアイスランド戦で決めた先制ゴールだ。「昨日のW杯でアグエロの振り向きざまのシュートを見て、今朝練習していて、それがちょうど出た」「来た瞬間に『あっ、アグエロだ!』って。キーパーは見ていなかったのでどうかなと思ったんですけど入ってよかったです」。草野の横パスを鋭い反転からネットに叩き込んだ。
公式戦2得点は高校初だという。強豪・正智深谷戦のゴールに「ずっと点を取れていなかったので、点を取りたいと思っていた。めっちゃ嬉しいです」と、喜びもひとしおの様子だった。
今年は狩集洸哉や大坂悠力などテクニカルな選手が多い中で、前で身体を張れるいい意味で南高らしい選手。次戦、立教新座に勝てばチームとして9年ぶりとなる全国大会出場が決まる。「この代で絶対に全国に行きたい。自分のゴールで決めたい気持ちはあるんですけど、チームとして勝てればいい」と佐藤。ゴールはもちろん、武器の競り合いでチームを全国に導く。
石黒登(取材・文)
試合結果
浦和南 3-1 正智深谷
3(前半)0
0(後半)1