全国高等学校総合体育大会 埼玉県予選準々決勝 昌平 vs 埼玉栄

全国高校総体・埼玉県予選準々決勝。18日はベスト8の4試合が行われ、昌平高校会場でも2試合が行われた。第1試合は昌平高校と埼玉栄高校が対戦。互いの死力を尽くした一戦は後半35分のMF原田虹輝の得点が決勝点となり、昌平が3ー2の逆転で準決勝に駒を進めた。

全国各地で30度を記録した前日とは打って変わり、この日は肌寒ささえ覚える気候の中で試合は始まったが、ピッチの中ではそれを忘れさせるような熱い戦いが繰り広げられた。

先に主導権を握ったのは埼玉栄。素早い寄せからセカンドボールを奪うと、後ろで回しながらMF塚目海渡、FW新井亮士郎の縦への突破からゲームのペースを握っていく。対する昌平はトップの佐相壱明がDF田中琉斗らのマークに遭ってボールを収めることができず。味方のサポートも少なく、前線で孤立してしまい、いつものような攻撃を展開することができない。

そんな中で先に試合を動かしたのは埼玉栄だった。前半24分、フリーで抜け出したMF石橋彪が右から左にスライドしながら、最後はキーパーも交わして無人のゴールに流し込んだ。2回戦では2ゴールを挙げた10番の一撃で昨年覇者・昌平から先制点を奪うことに成功する。

収まりどころの佐相が抑えられ、なかなかリズムをつかめない昌平。難しい展開となる中でこの嫌な流れを変えたのがMF山下勇希だ。前半35分、中盤で横パスを受けた山下はファーストタッチで相手の前に入ると、ひとつドリブルで外して高見に預ける。「中盤の選手でイメージの共有はできている」(山下)。そのまま敵陣に走り込むと佐相、再び高見とつないだボールが山下の足元へ。キーパーとの1対1に迷わず右足を振り抜いてゴールに突き刺した。

これで流れを引き戻すと、さらに後半6分には逆転ゴール。前線で佐相が収めてMF古川勇輝、左サイドバックの堀江貴大とボールがわたると、堀江からの精度の高いクロスに「これはいけると思った」というMF髙見勇太が飛び込んでついに試合をひっくり返した。

しかし埼玉栄も一歩も引かず。後半15分には新井が迫力あるドリブルで右サイドを持ち上がると、エリア深くからグラウンダーのクロス。これに2、3回戦と連続ゴール中のMF福島健太が滑り込んで2ー2に。互いのプライドをかけた激闘は最終盤にもつれ込むこととなる。

一気にゲームを決めたい埼玉栄は新井が後半20分過ぎから連続して抜け出すも、「誰がいって誰がカバーするのかを確認しながらプレーできた」という石井優輝、関根浩平のセンターバックコンビが身体を張ってセーブ。ここを凌ぎきって昌平は終盤の決勝ゴールにつなげた。

その起点となったのは山下の縦パス。後半35分、「結構角度をつけた」というボールを佐相が的確なポストワークで落とすと、その8分前に「積極的に攻めろ!」と送り出されたという原田にボールがつながる。「良い連携ができた。ドリブルで相手の前に入って、シュートは思いっきり打ちました」(原田)。これが決勝点となり、昌平がベスト4の切符をつかんだ。

この日1ゴールと決勝点の起点になった山下。「新人戦決勝と関東予選決勝も怪我で思ったようなプレーができなかった。関東ではやってやろうという気持ちだったが、1試合目で怪我をして2、3試合目は出られなくて、優勝も素直に喜べなかった」。それだけに「このインハイにかける気持ちは人一倍大きい」という背番号7がチームを準決勝に導いた。

関東本大会1回戦に続き、逆転で勝利したチームについて藤島監督は「粘り強さというところだけじゃないと思っている」と語る。昨年は相手の対策に対してそれを乗り越える術を持たなかったが、戦術の幅を広げた今年はうまく1試合をコントロールしながら劣勢を跳ね返せる力がある。前への推進力が持ち味の原田ら、交代カードの充実も大きいだろう。

「去年全国3位になったが誰も満足はしていない。その舞台に立って日本一になるためにも、まずは次を何が何でも勝って全国を決めたい」と主将の石井。埼玉スタジアム第3グラウンドで行われる24日の準決勝では全国行きをかけて浦和学院高校と激突する。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 3-2 埼玉栄

1(前半)1
2(後半)1

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