平成30年度全国高校総体サッカー大会 埼玉県予選1回戦 川越東 vs 川口市立

インターハイ予選1回戦。川口市立高校と川越東高校の一戦は、後半7分の吉岡柊人のゴールが決勝点となり、川口市立が合併後県初勝利を飾った。川口市立は続く2回戦の山村国際高校戦もPK戦の末に勝って3回戦に進出。ベスト16では大会2連覇中の昌平高校と対戦する。


この日の川口市立は支部予選ではトップで起用した長身の貫井直を一列下に配置。中盤のハイボールでは貫井が高さを見せながら、速さのある吉岡やMF植木龍也が抜け出しを狙っていく。

前半31分には吉岡、植木の2人でチャンスを作ると、36分にはコーナーキックの折り返しからネットを揺らしたが判定はオフサイド。それでも「いい流れだったので後半このまま押せばいけるかなという感じでした」(吉岡)。守備でも森藤真生と吉澤輝将のセンターバックコンビを中心にハイボールを跳ね返して、前半は相手のシュートを1本に抑えて試合を折り返した。

後半6分にはDF須田晟汰のフリーキックを貫井が落として、MF佐藤颯の反転シュートは惜しくもクロスバーを越えたが、直後に待望の先制点が生まれた。後半7分、後方からの縦パスに対し走り込んだ植木がタッチライン際のボールをヒールで残すと、MF牛山智貴のマイナスのクロスに中に絞った吉岡が右足でしっかりとミートして、川口市立がついに均衡を破った。

これで追う展開となった川越東は後半15分にFW西脇光祐が飛び出しを狙ったが、川口市立GK杉本俊太が前に出て身体を張ってゴールを死守。17分には右コーナーキックからDF平井柊斗がバックヘッドを合わせるも、ボールはわずかに枠をオーバーして思わず天を仰いだ。

その後も両軍最多3本のシュートを打った佐藤や貫井が次々とゴールに迫った川口市立。追加点は生まれなかったが、1ー0で危なげなく勝ち切って、合併後初の県初陣を勝利で飾った。

サイドの仕掛け人・吉岡が決勝点 ゴール後はコーチに捧げるゆりかごパフォーマンス

「前半はあまり自分に転がってこなかった。後半は打ってやろうと思っていました」と吉岡。

得点機が巡ってきたのは後半7分。逆サイドで縦パスが入ると一気に絞り込んでエリア内へ。牛山のマイナスのクロスをしっかりと右足でミートしてゴール右下に運んだ。チームとしても待ちに待った先制点。「県大会で決められたので気持ちよかったですね」と笑顔を見せた。

得点後にはサプライズを仕込んでいた。吉岡をはじめとする選手たちが両腕をすくい上げるような仕草を取りながらベンチに駆け寄る。これはと思いきや、ゆりかごパフォーマンス。実はつい先日磯崎祥大コーチに子供が産まれたばかりなのだそう。「ゴールしたらみんなでこれをやろうと決めていました」。これには磯崎コーチも驚いていたようで「もうびっくりしました。近づいてくるので何をやるのかなと思ったら僕ので。すごく嬉しかったですね」と喜んだ。

チームで1、2を争うスピードが大きな武器。カットインからの形を得意とするが、「今日はカットインからのシュートがなかった。悔しいので次は狙っていきたいですね」と意気込む。

植木との快速コンビは強力で、県陽高時代も1年間、彼らの成長を見守った磯崎コーチは「2人が前に出ると何かやってくれるというのがある。期待はすごくしています」と信頼を寄せた。

いざ王者・昌平狩りへ! 部長の杉本「ジャイアントキリングのチャンスはある」

1回戦の勢いのままに、翌日の山村国際戦もPK戦の末に勝利し3回戦に進出。ベスト16の相手は大会2連覇中の昌平高校に決まった。昌平高校は今年2大会でベスト8に終わってはいるが、強豪であることに変わりはない。2回戦の東農第三高校戦では14ー0とさすがの力を見せた。

だが、選手たちに臆した様子はない。部長の杉本は先日の天皇杯2回戦・ガンバ大阪vs.関西学院大学戦を引き合いに出し「ガンバが関西学院に負けたじゃないですか。だからうちにもワンチャンスはある。ジャイアントキリングを起こしていけるかなと思っています」と力を込めた。

「今日はどちらかというと相手に合わせてしまった。もっとパンパンパンとダイレクトで繋いだり、スイッチしたりしてやりたいですね。あれは後ろから見ていても楽しいので」と杉本。

3年後の平成33年には県内公立では浦和南高校に続き2校目となる人工芝のグラウンドも完成予定。「そうなれば強い選手も入ってくる。その時のためにも川口市立のサッカーをやりたいと思わせられるようなサッカーをしていきたい。やっぱり面白いって思わせたいですね」。

いつか「俺、一期の部長だったんだぜ」と笑って話すために。一戦必勝で王者・昌平戦に挑む。

石黒登(取材・文)

試合結果

川越東 0-1 川口市立

0(前半)0
0(後半)1

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