平成30年度全国高校総体サッカー大会 埼玉県予選2回戦 浦和南 vs 西武文理

インターハイ予選2回戦。浦和南高校と西武文理高校の一戦は、2ー1で浦和南が勝利し3回戦進出を決めた。1ー1で迎えた後半38分、ゴール前で獲得したフリーキックDF庄司千暁が壁に当てながらも直接決めてこれが決勝点。浦和南はベスト16で国際学院高校と対戦する。

ともに全国経験校同士の戦いになった2回戦。試合直前から雨も強まり出すなど波乱を予感させた一戦は開始早々に動いた。先制点は前半1分。GK正野友稀のロングキックをFW佐藤智隆が落とすと、こぼれ球に抜け出したMF草野皓が落ち着いて左足で決めて浦和南が先行した。

対する西武文理もすぐに集中を取り戻し、直後にFW澤田颯太のヘディングでゴールに迫る。守備では主将の河村祥栄、山崎拓郎を中心に相手の攻撃を跳ね返すと、縦への速い攻撃からシュートシーンを作っていく。終盤はプレスも嵌り相手を押し込んだ状態で前半を折り返した。

後半も同点弾を狙う西武文理が前に出る。12分にはFW浅見玲王の突破から細かく繋ぎMF氏家大輔のシュートは枠を外れたが、その後も攻撃の圧を高めていくとついに同点弾が生まれた。

後半28分、スローインから浅見が敵を引きつけて生まれたスペースに1年生DF古沢徳真が突進。このトライは相手守備に阻まれたが、こぼれ球が右サイドに流れるとその直前にピッチに投入されたばかりのDF大熊晃一朗が反応し右足を一閃、ネットを揺らした。2015年以来2度目のインターハイを目指す西武文理が土壇場で踏ん張りを見せ、試合は再び降り出しに戻る。

残り時間も5分を切り、延長が現実味を帯びてくる中で勝負を分けたのはセットプレーだった。浦和南は後半38分にMF大坂悠力がペナルティーエリア前で倒されてフリーキックを獲得。これを庄司が右足で蹴り出すと、ボールは相手ディフェンスに当たってコースを変えてネットに吸い込まれて浦和南が再度勝ち越し。西武文理もアディショナルタイムにほぼ同じ位置でフリーキックを得たが、浅見のシュートはあとひとつ落ち切らず、わずかに枠を越えた。

直後にタイムアップの笛。終盤に大きく動いた難局を制し、浦和南がインターハイ予選では5大会ぶりとなる3回戦進出を決めた。16日は同年以来のベスト8をかけ国際学院と対戦する。

「100点に近い」立ち上がりを経て前半は相手の時間を凌いだが後半に失点。「一瞬慌てたんですけど、ピッチの中で『落ち着いて』『大丈夫』と話し合った」ことが最後のセットプレーに繋がったとゲームキャプテンを務めた大坂。「後半は惜しいシーンが何回もあったんですけど、キーパーのこぼした最後の詰めだとか、最後の最後の部分がまだ足りていないというのを実感しました」。それでも初戦からこういったタフなゲームを勝ち切ったというのは次に繋がる。「このままどんどん勢いに乗っていきたいですね。みんなが全国を狙っている。残りの試合も全員で戦いたい」とし、2009年インターハイ以来となる全国出場に意欲を燃やした。

DF庄司がミス取り返す決勝FK弾 「もう一回締め直してここから全部無失点でいきたい」

「野崎先生からフリーキックを蹴る選手は責任を持って蹴れと前日に言われていて、昨日は結構練習していた。壁のサイドに当たったんですけど、入ってくれて良かったです」と庄司。

その場面が回ってきたのは後半終了間際の38分。大坂がペナルティーエリア前で倒されてフリーキックを獲得すると、普段はキーパーから見て右側を庄司、左側を大坂が担当しているがボールはちょうどセンターの位置。「悠力さんにどっちが蹴ると聞いて、蹴っていいよと言われたので蹴りました」。左上を狙ったシュートはうまく上がり切らずにディフェンスに当たったが、リフレクションがキーパーの逆に飛び「ラッキーな形でした」と苦笑いを浮かべた。

「あれは自分のミス」と語った直前の失点シーンでは弾いたボールが相手の前に転がって被弾に関与。「マジでビビりましたね。雰囲気も悪かったので決められて本当に良かったです」。

右足の正確なキックとビルドアップが武器。決勝フリーキックの他、前半9分に草野に通したロングパスなどでチャンスを演出したが、本職のディフェンスでも1失点は悔いが残るところ。「今大会では無失点を目標にしていたんですけど決められてしまった。もう一回締め直して、ここからは全部無失点でいきたいです」と語り、3回戦以降の完封を強く心に誓った。

石黒登(取材・文)

試合結果

浦和南 2-1 西武文理

1(前半)0
1(後半)1