全国高校総体サッカー 埼玉県南部支部予選 代表決定戦 川口市立 vs 川口青陵

高校総体南部支部予選・代表決定戦。川口市立高校と川口青陵高校の一戦は、1ー1で迎えた前半アディショナルタイムにFW貫井直の得点で勝ち越した川口市立が後半さらに1ゴールを重ねて3ー1で勝利。今年4月に3校が統合し新たなスタートを切って初の県大会を決めた。

ファーストシュートは川口青陵だったが、先にスコアを動かしたのは川口市立。前半6分、右サイドバックの須田晟汰のシュートのこぼれ球をMF牛山智貴が落ち着いて決めて先制した。

前半10分には牛山が持ち込んで鋭いシュートを放ったが、これは川口青陵GK原朋矢が横っ飛びで弾き出して追加点は許さない。その後も耐える展開が続いた川口青陵だったが32分、原のロングキックに抜け出した左サイドハーフの渡邊翔がワンチャンスを決め切って同点とした。

それでも川口市立は前半アディショナルタイムに再び勝ち越し。主将のDF森藤真生のフィードに反応した貫井は190.2cmの長身でこのボールを収めると反転から右足でシュート。ボールは相手ディフェンダーに当たりながらもゴールに吸い込まれた。「1点取られてからみんな焦りが出始めていた。これをしっかりと決めればチームが勢いづくかなと思ったのでしっかりと決めることができてよかったです」。「みんながいてくれての僕。チームのみんなに認められるような選手になっていけたら」と話す10番が決めた直後、前半終了のホイッスルが鳴った。

いい流れで後半を迎えた川口市立は14分にセットプレーから追加点。森藤の左コーナーキックにセンターバックの相方を務める2年生DF古澤輝将がヘディングで合わせて3ー1とした。

2点を追う川口青陵は後半15分過ぎから連続してセットプレーのチャンス。19分には渡邊のフリーキックにDF菅原拓海が頭で狙っていくが、シュートは枠を捉えることができない。

その後もサイドの崩しからチャンスを作った川口市立。アディショナルタイムには相手のセットプレーを受けてのカウンターからMF植木龍也が右サイドをドリブルで独走してクロス。貫井のシュートはクロスバーを叩き「あれは決めたかった」と悔やんだが、後半も自分たちのスタイルを出しながら安定した戦いを見せた川口市立が3ー1で勝利し、県大会行きを決めた。

新たな歴史の第一歩を踏み出した川口市立 森藤主将「絶対に越えられない結果を残す」

新しいユニフォームに袖を通した選手たちが、チームの歴史の1ページ目を軽やかに刻んだ。

今年4月に県陽高校、市立川口高校、川口総合高校が統合する形で開校した川口市立高校。サッカー部もこの春に新たな幕開けを切った。本格スタートは4月からだが、新人戦明けの2月以降は週末に集まって練習。3月には合同チームで練習試合を行うなど準備を整えてきた。

もちろん最初からうまくいったわけではない。元県陽勢にとっては、それまでのスタイルとはガラッと変わる森龍太郎監督(元市立川口監督)のサッカーを理解するのに苦労したという。

「県陽時代は前に速い選手を使って競らせようっていうサッカーだったんですけど、森先生になって自分たちの個も生かしつつ、足元の技術だったり、後ろから繋いでいくサッカーができるようになっていままでプラスα強くなった気がします」と森藤。貫井も「はじめは本当に前の4人の選手で、全然息が合わなくて練習でも悩みながら手探り状態だった」と振り返りながら「でもそれが徐々にハマっていくと楽しいサッカー」と新たなスタイルに手応えを見せた。

川口市立として初めての県大会出場を決めて、ここからさらに自分たちで歴史を作っていく。

主将の森藤は「一期生として絶対に越えられないような結果を残したい」と意気込み。森藤と共にチームを牽引するもうひとりのキャプテンのGK杉本俊太は「俺たちが第一期生なのでやらなきゃなという想いはある。目標はやっぱりテレビに映れるところまでいきたいですね(笑)」と笑顔を見せた。一期生だからこそ――。責任と自覚を持って1年目からインパクトを残す。

試合結果

川口市立 3-1 川口青陵

2(前半)1
1(後半)0