第38回浦和カップ 市立浦和 vs 山形中央高校
第38回浦和カップ最終日。3位決定戦に進出した市立浦和高校は山形中央高校(山形)と対戦した。試合は後半20分にハーフタイム明けから投入されたMF島澤一杜がシュートのこぼれ球に詰めて先制。終了間際に同点とされたが、PK戦の末に勝利し3位で大会を終えた。
「切り替えの速さや一歩の出足。とにかく運動量が少なかった」と池田一義監督。3日間で5試合をこなしての6試合目。疲れもある中でFW吉田侃斗が「攻撃にリズムがなかった。シュートも打てなかったし、どんどん悪循環に陥ってマイボールの時間もしっかり作ることができなかった」と振り返ったように、なかなか流れをつかめないままスコアレスで折り返した。
それでも後半、メンバーを大幅に入れ替えた市立浦和は、交代直後から得点への高い意識を見せた島澤がゴールネットを揺らした。サイド、中央、FWでプレーでき、「どこからでもゴールを狙える」ことが特徴の攻撃のユーティリティーは後半20分、同じく途中出場のFW斉藤温海のミドルシュートがキーパーを強襲したこぼれ球にただひとり反応してゴールを奪った。
先行した市立浦和だが、終盤に圧力を強めてきた相手に対し押し込まれると、ラストワンプレーで与えたフリーキックから失点し同点に持ち込まれた。その後突入したPK戦では交代出場したGK髙梨恭のセーブもあり4ー3で勝利したが、ディフェンスリーダーの深谷悠人は「これがリーグ戦だったら勝ち点3が1になる。終わらせ方はこだわらないといけない」と警鐘を鳴らした。
とはいえ今大会は6戦を戦って5勝1分。得失点差で3位決定戦に回ったが、今大会で負けていないのは市立浦和のみだ。「この無敗っていうのはチームにとってすごく大きい」と吉田。大会前の合宿では主将でエース格のMF髙橋豪が負傷で長期離脱を強いられることとなった。プレー内外でチームを牽引するNo.10の不在は大きな痛手だが、「彼がいなくても勝てるチームにしていかないといけない。そういうところでみんなでまとまってやっていくことが、いまこそ大事なんじゃないかと思います」。そういった中で結果を残したというのは大きな収穫だ。
池田監督も「点は割と毎試合取れていたし、(攻撃の連動でも)良い形は随分と出てきている」と新人戦の頃の頃にはなかったチームとしての崩しが出てきたと攻撃陣を評価した。
新人戦では浦和南高校を相手に攻め込みながらも支部準決勝敗退で県大会出場はならず。昨年は関東予選、インターハイ予選、選手権予選のすべて1回戦で姿を消すなど悔しい想いを味わった。次週と迫った関東予選1回戦の相手は新人戦準優勝の西武台高校。難しい戦いになることは間違いないが、楽しみなタレントも多い今年のチーム。今大会で得た自信を糧にここを乗り越えることができれば、一躍今年の主役候補に名乗りをあげる可能性も十分にある。
石黒登(取材・文)
試合結果
市立浦和 1(4PK3)1 山形中央
0(前半)0
1(後半)1
4(PK)3
優秀選手
深谷悠人、吉田侃斗(市立浦和)
武田憂斗、高内快斉(山形中央)