平成29年度 埼玉県高校サッカー新人大会 準決勝 成徳深谷 vs 浦和東
平成29年度 埼玉県高校サッカー新人大会準決勝。初タイトルのかかる成徳深谷高校と6年ぶりの優勝を狙う浦和東高校の一戦は、後半36分のMF北原港の得点が決勝点となり成徳深谷が1ー0で競り勝った。同校は県大会で初の決勝進出。ファイナルは西武台高校と対戦する。
準々決勝で昨年県内5冠の昌平高校を下した成徳深谷が勢いのままに準決勝でも粘り勝った。
序盤からボールを持ったのは浦和東だったが、「ディフェンスラインでカバーの連続ができていた」と成徳深谷DF成澤圭梧。ベスト16の浦和学院高校戦、準々決勝の昌平戦同様1人抜かれても、2枚目、3枚目とカバーリングの意識を徹底して相手に決定的な場面を作らせず。
後半開始1分には浦和東MF横田遥人がゴール前に抜け出して1対1を迎えたが、「ここでやられたら意味がない」とGK神尾龍太が飛び出して身体を張ってセーブし得点は許さない。
すると試合が動いたのは後半36分。その直前に疲れの見えた相手のサイドバックに対し「積極的に仕掛けてこい」と送り出されたMF間中実来が得意のドリブルで左サイドを切り裂くと、グラウンダーのクロスに「同じ1年でコンビネーションも良い。そこにボールが来ることはわかっていたので飛び込んで合わせるだけでした」とニアに入った北原が右足で押し込んだ。
前半から守備の機会が多い中で北原にとっても、そして成徳深谷にとってもこの試合初めて迎えた決定機。「少ないチャンスでも決めると思っていたので決められて良かったです」。得点後は応援団サイドに走ると「試合前から点を取ったらやろうと決めていた」という“クリロナパフォーマンス”を披露。新たに背負うエースNo.10を誇示するように喜びを爆発させた。
これが決勝点となり成徳深谷が1ー0で勝利。これまでの最高成績は2015年の関東大会予選ベスト4だったが、今回はその関門を乗り越えて初めて県の舞台でのファイナル行きを決めた。
チームのベースはしっかりとした守備。「良い攻撃から良い守備は難しいが、良い守備から良い攻撃はできる。まずチーム全体で戦うという意味で守備の構築から入った」と為谷洋介監督。準々決勝では昨年県内5冠で大会3連覇を狙った昌平と対戦。苦しい展開の中で終盤に同点弾を奪われたが、「攻撃陣も含めてしっかりと全員で耐えられた」(成澤)ことが延長での勝利に繋がった。準決勝も運動量高く、切り替え早く臨み相手に決定機を与えなかった。
今大会は支部予選からの参戦。雪の影響で日程がずれ込んだことで北部の決勝が行われたのは県大会開幕2日前の8日。先週は6日、8日、10日、12日と中1日で4連戦をこなした。主将のMF佐藤蒼太、ディフェンスリーダーの成澤、キーパーの神尾らは支部予選から連続しての出場。当然疲労はあるが、このタイトな日程がプラスに働いている部分もあるという。
「先週の4連戦はすごいきつかったんですけど、タイトな日程の中で自分たちの流れが生まれた。その部分は疲労というよりも流れが掴めたのでよかったと思っています」(佐藤)。
初の決勝進出を決めたが浮かれた様子はない。目指すのはその先、県の頂まであと一歩。「歴史を塗り替えるとかいろいろとあるんですけど、県No.1というのがチームの目標なので、そこを取らないと意味がなくなってしまう。必ず勝って県No.1になりたいです」と佐藤。今大会で驚きをもたらした成徳深谷ウェーブが新人戦優勝6回の強豪・西武台をも呑み込むか。
石黒登(取材・文)
試合結果
成徳深谷 1-0 浦和東
0(前半)0
1(後半)0