平成29年度埼玉県高校サッカー新人大会南部支部予選 7位決定戦 川口北 vs 与野

平成29年度埼玉県高校サッカー新人大会南部支部予選7位決定戦が6日に与野八王子グラウンドで行われ、川口北高校と与野高校が対戦。試合は後半21分に主将のMF大鐘勇志が挙げた得点が決勝点となり川口北が1ー0で勝利。関東大会予選南部7枠の最後の1枠を掴んだ。

序盤からボールを握ったのは川口北。今年のストロングポイントであるセットプレーなどから連続して相手陣地に攻撃を仕掛けていく。しかし与野も運動量高くこれに対抗。またディフェンスラインが最後の部分ではしっかりと身体を寄せてフリーな状態では打たせない。GK和田恭治も当たっており、川口北は攻めながらもなかなか得点が決まらない時間帯が続いた。

それでもスコアが動いたのは後半21分。大鐘のコーナーキックをFW中島迅太郎が中で叩く。一度はキーパーに弾かれたが、こぼれ球に詰めた大鐘が左足で低く突き刺して均衡を破った。

終盤は与野が前に出る展開となったが、アディショナルタイムの速攻も得点に結びつかせることはできず。関東出場7枠を巡る最後の戦いは1ー0で勝利した川口北に軍配が上がった。

「土日もゲームをやって中1日でかなり消耗していてやはり動けなかった。与野高校の気持ちの方が上回っていて、うちの子達はそこを被せていけなかった」と川口北・森田洋正監督。相手も同じ条件にせよ、雪の影響で4日間で3試合を戦った疲れから前半は精彩を欠いた。

そんな中でチームを勇気づけたのが大鐘。この日は前半36分に途中出場。「前半はマイナス、マイナスになっていた。自分が出たら必ずプラスの声をかけて、チームを盛り上げていきたいと思っていた。キャプテンとして何ができるのかを考えてグラウンドに出て行きました」。チームを鼓舞しながら決勝点も奪い、「自分の仕事はできたんじゃないかなと思います」。

今予選は出場時間もあまり長くはない中で思うところはあったはず。それでも準々決勝の浦和北高校戦(1ー2●)では、まだ試合があるにもかかわらず涙を流す仲間たちに「みんなまだある!まだある!」「次がある!次がある!」と手を叩きながら鼓舞した。「みんなが落ち込んでいるときにどれだけ前向きな言葉をかけられるか」を常に考えられる選手。そんなチームを影から支えた彼が最後は主役となって関東予選に導くゴールを奪ったというのは感慨深い。

「この子たちはもっとできる」。指揮官の期待値も高い今年のチーム。2ヶ月後の関東予選に向けて森田監督は「2回勝てばベスト8でインターハイのシードが取れるので、まずは初戦必勝で頑張って行きたい」「テーマは体力の向上とファーストコントロール」とし、主将の大鐘は「走れなかったり、守備が甘かったりする点を詰めていきたい」と今後の課題を語った。

一方、惜しくも関東予選を逃した与野にとっても今予選は実り多きものになったようだ。「やはり高校生は気持ちが少し変わって、厳しいゲームをこなすと一戦一戦成長する」と与野・新井正博監督。『県大スタンダード』を掲げるチームにとって、今回初めてそういったレベルを肌で感じながら最終日までプレーした経験が成長の大きなきっかけになることを期待した。

石黒登(取材・文)

試合結果

川口北 1-0 与野

0(前半)0
1(後半)0