「うまくて勝ちきるチームに」昌平が昨年3度跳ね返された決勝を制し、県内タイトル初V!関東リーグで磨かれ、今冬は男女での全国を目指す

令和5年度埼玉県高校女子サッカー新人大会決勝が18日に行われ、初の栄冠を狙う昌平と最多7度目の大会制覇を目指す本庄第一が激突。4-0で昌平が勝利し、公式戦初優勝を飾った。

「やりたいことはできたかなと。切り替えの速さだったりボールを持つことであったり、男子と同じようなスタイルで、昌平のサッカーという意味でも表現できたと思います」(森田光哉監督)

前半から昌平はボールを持って進め、奪われても切り替え速く回収して連続アタック。前線では対人の強さとスピードのあるFW松井美優(1年)が脅威となり続け、10番MF佐藤李那やMF金澤道(ともに2年)、成長株のMF山田仁菜(1年)が2列目から飛び出してゴールに迫った。

すると前半17分、エリア左で1対1を迎えた松井が果敢に仕掛けてクロス。これを収めた金澤がファーストタッチで相手を外し、落ち着いてゴールネットに突き刺して先制した。その後も攻勢をかけ、35分には松井が自ら獲得したペナルティキックをしっかり蹴り込んで追加点とした。

一方、本庄第一は3年生が抜け、新チームは11人きっかりとサブメンバーのいない苦しい台所事情の中で前半に2失点。後半はまず5バックでしっかりと守りながら、1年の時から主力を務め、ボールキープと展開力に優れるMF小池樹里(2年)主将がなんとか打開しようと試みる。

しかし、「(準決勝の)川口市立戦もそうですけど、守られても取り切れる力が出てきたと思う」(監督)という昌平はメンバーチェンジやポジション変更を行ってその都度その都度チームを活性化させながら、後半も強度を落とさず。その中で相手の隙を見つけて追加点を奪いにかかる。

29分には途中出場のMF勝山あゆみ(1年)がカットインから左足でゲット。終了間際の33分には金澤を起点にした攻撃で左SBの福島紗羅メヘル(1年)のクロスに「左サイドの紗羅からすごい良いボールが何回も入っていたのであとは自分が中に入って、ボールに頭が出れば入るなと思っていた」と話すストライカーの松井がドンピシャのヘディングで決めてダメを押した。

昌平にとっては待ち望んだ初タイトル。昨年は初の決勝進出を飾った新人戦を皮切りに、総体予選、選手権予選と3大会連続でファイナルにコマを進めたが、すべて準優勝に終わっていた。

金澤は「(昨年の悔しさを晴らすために)一番近い大会が新人戦だった」とここに照準を併せてきたことを明かし、今大会腕章を巻いたMF森居杏桜(2年)は「決勝までは行ってもいつも負けていて、あと一歩届かない部分が大きくて。ずっとみんなで悔しくて、ここの悔しい思い出しか残っていなかったので、それを今回笑顔で終われて本当に嬉しく思いました」と笑顔を見せた。

昨夏より指揮を執る森田監督は「うまいチームじゃなくて、「うまくて勝ちきるチーム」になろうと最後ミーティングで話をして。ここで負けたらいつまでたっても「うまいけど弱いチーム」っていう位置づけになってくると思うので、そこの位置づけを強いチームに変えていこうというのをミーティングでとにかく話していた。勝てて良かった」と初優勝に胸をなで下ろしていた。

今大会はDF津久井小夏(2年)主将が一昨年に負った怪我のボルト除去手術で初戦のみの出場となったものの、安定した強さを発揮。松井、佐藤、金澤のトライアングルは強力で、「今日出した選手も含めて、まだベンチに試したい選手もいますし、ユニフォームをもらえていない選手の中でも伸びてきてベンチに入れたり、試合に出したい選手もいる。チーム力という部分では、県内では多分どこにも負けないものを持っていると思う」と指揮官も言うように選手層は厚い。

また、今季は関東リーグで戦えることも大きく、そこでの経験を経て一気に抜け出す可能性もある。金澤は「リーグが一個上がったことは大きいと思っていて、そこで自分たちのチーム力とか技術を上げて、埼玉では敵がいないみたいな、そんな感じになりたいなと思っています」と話す。

その上で目指すのは埼玉3冠、そして選手権での男女揃っての全国出場だ。女子は今季からレギュレーションが変わり、県の優勝校がそのまま全国大会への出場切符を手にすることになる。

森居は「男子にもいつも近くで見させてもらって刺激とかももらっている部分もあるし、グラウンドとかも貸してくれたり、いろいろ感謝している部分もあるので、その男子とともに埼玉制覇して、女子も男子みたいに知名度を上げられるように頑張っていきたい」と意気込みを語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

本庄第一 0-4 昌平
0(前半)2
0(後半)2