またしても劇的な幕切れ、昌平が終盤の長璃喜弾&PK戦の末に大津撃破!3度目の冬の8強へ、今度こそ歴史を動かすか

第102回全国高校サッカー選手権大会の3回戦が1月2日に浦和駒場スタジアムほかで行われ、埼玉県代表の昌平は2-2からのPK戦の末に大津(熊本)を下し、第99回大会以来のベスト8入りを果たした。準々決勝では初の選手権ベスト4をかけて青森山田(青森)と対戦する。

「前半はうちのペースでうまくやれていた部分もあった。人の絡みだったり、ひとりひとり見て、自信を持ってボールを扱っていた部分は前回の前半とはちょっと違うのかなと」(村松明人監督)

2回戦の米子北(鳥取)戦は相手のロングボールを警戒するあまり後ろ重心になったことや「味方に渡すっていうマインドになっていた選手がいた」ことで前半はなかなか昌平らしい推進力のあるアタックができなかったが、この日はそれぞれが仕掛けの意識を持ちながら展開する。

今大会初スタメンでトップ下に入った西嶋大翔(3年)が切れ味鋭いドリブル突破でボールを運び、そこからのスルーパスから2分、15分とFW小田晄平(3年)がゴールに襲い掛かった。

また、守備の部分では高い位置から囲い込み、奪い切る積極的なディフェンス。相手の長いボールからの強さを生かした攻撃に押し返されるシーンもあったが、前からの守備も効果的だった。

その中で前半37分、クロスに大津の水戸内定MF碇明日麻(3年)に競り勝たれ、こぼれ球をFW山下景司(3年)に決められてしまうが、それでも昌平はハーフタイム前ラストプレーとなった40+1分、西嶋がドリブルで持ち出し、MF前田大樹(3年)がヒールで繋ぐと抜け出した小田が左足で決めきって同点に。村松監督も「最後の1点が大きかったかなと思います」と話す。

後半は相手がロングボールを増やしてきた中で押し込まれる時間が増えたが、ゲーム主将のDF佐怒賀大門(3年)、坂本航大(2年)のCBコンビ、左SBの上原悠都(2年)が相手のクロスやシュートに喰らいつき、セットプレーの守備ではゴールライン上で小田がヘッドでクリア。また、小田に代わり25分から投入されたFW鄭志錫(2年)が前線から精力的な守備を試みた。

しかし、28分に再び失点。右コーナーキックからまたしても188cmの長身を誇る碇にヘディングで合わされ、FW稲田翼(3年)にフリックで流し込まれた。得点を取りに行かなければいけなくなった昌平は31分に3枚替え。MF長璃喜(1年)、FW工藤聖太郎(3年)と前線の選手を入れ替え、MF鈴木宏幸(2年)を中盤底に投入しMF大谷湊斗(2年)を左サイドに上げる。

刻一刻とタイムアップが近づく中で、この日も最終盤でこの男がやってくれた。38分、昌平はMF長準喜(3年)が代名刺のドリブル突破でドライブ。鄭がゴールエリアで粘り、ヒールで出したボールを長準喜がヘディングで繋ぐと、最後は米子北戦でもラストワンプレーで劇的同点弾を決めた長璃喜が右足でネットに突き刺し、3試合連続のゴールで試合を振り出しに戻した。

勝負の行方は2戦連続のPK戦へ。昌平は加藤大地GKコーチとともに前日1時間みっちりPK練習をしてきたという守護神の佐々木智太郎(2年)が先行の相手の4本目を左に飛んでビッグセーブ。蹴っては5人全員が成功させて、2回戦に続き激戦となった東西プレミア対決を制した。

これで冬は3大会ぶり3度目の8強進出。第98、99回はこのステージで跳ね返されているだけに今回こそ突破したいところ。対戦相手は98回大会の準々決勝でも当たった青森山田となった。佐々木は「自分たちの目標は日本一。昌平の歴史はベスト8っていう壁にいまぶつかっていますけど、まずはそこを突破して、日本一を取れるように頑張っていきたい」と意気込みを語った

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 2(5PK4)2 大津
1(前半)1
1(後半)1
5(PK)4