またしても8強敗退も苦境で見せた“逆転の昌平”、佐怒賀主将「誇りと自信を持って帰りたい」来年は後輩たちがリベンジへ

第102回全国高校サッカー選手権大会の準々決勝が1月4日に浦和駒場スタジアムほかで行われ、埼玉県代表の昌平は0-4で青森山田(青森)に敗れ、初のベスト4入りとはならなかった。

 

早すぎた失点が戦いを難しくした。前半2分、中学2年生まで昌平下部のFC LAVIDAで過ごした青森山田の10番MF芝田玲(3年)の右クロスからDF小沼蒼珠(2年)に沈められ先制点を許すと、4分には芝田のフリーキックから混戦をDF小泉佳絃(3年)に押し込まれた。

村松明人監督は「先行するイメージでいたので、先行されて相手に守備も攻撃も余裕を与えてしまった。先行して、自分たちの流れで前半からやれれば良かったですけど、空中戦がどうしても相手に分があって、そこから少しリズムがどうしても相手に行ってしまった」と悔やむ。

前回対戦時となった昨年11月のプレミアリーグEAST第21節(2-2△)でも立ち上がりから青森山田に押し込まれる中で、粘り強い守備や相手のミスもあり失点せずに乗り切った先に自分たちの流れになった経緯もあっただけに、出来れば先制点は与えたくないところだった。

昌平は17分、DF坂本航大(2年)が縦パスでスイッチを入れ、FW鄭志錫(2年)のポストプレーに抜け出したFW小田晄平(3年)が決定機を迎えたが、シュートは惜しくも左に外れた。

19分には芝田にゴールを許し3失点目。昌平は23分にMF西嶋大翔(3年)を、37分に今大会途中出場からチームトップの3得点を奪うスーパールーキーのU-16日本代表MF長璃喜(1年)を投入。「仕掛けられるやつをどんどん入れて少しずつ変えていこうというのはあった。指示的なところというよりも、そこ(相手の守備ブロック)に入って行けるような選手を入れた」。

後半22分にはU-17日本代表MF山口豪太(1年)を投入し、2列目に3人ドリブラーが並ぶ攻撃的シフトに。その中でボールを持って相手陣内でプレーする時間も増えたが、しかし、青森山田の伝統とする「ゴールを隠す」守備に苦戦しなかなか迫り着ることができず。MF大谷湊斗(2年)は「中を締められて。でも最後まで見たらちゃんと空いたりしていた部分もあったんですけど、最後までしぶとくて、ゴールを隠していて難しかったです」と話す。

堅守を破ることができず、逆に後半頭にもセットプレーから小泉にこの日2点目を奪われるなど4失点。昌平にとって3度目となったベスト4への挑戦は0-4というスコアに終わった。

村松監督は「今日体感した1対1の強さ。相手の攻守にわたっての1対1の強さというのは、そこに関してはもう少しやっていかなきゃいけない部分は感じました」とした。

怪我の石川穂高(3年)に代わり腕章を巻いたDF佐怒賀大門(3年)は悔しさも見せつつ、「2試合目、3試合目とも追いつけて、勝つことができて、少しでも感動を与えられたかなとは感じているので、そこは本当に誇りと自信を持って、悲観することなく、帰りたいと思います」。

今大会は屈指の激戦区に入った中で米子北戦、大津戦とともにビハインドを背負う中で試合終了間際に追いつき、PK戦の末に勝利。最後まで諦めずに戦う姿は観衆に大きな希望を与えた。

「今日出ていた1年生もそうですけど、それ以外にも本当に力のある選手がいっぱいいる。後輩たちには後悔しないように、1年間またプレミアリーグもそうですけど、いろいろな舞台で本当に活躍して、絶対に後輩たちは優勝できると思っているのでそこは託したいなと思います」。

ベスト8突破、日本一の夢は後輩たちへ。来年はエース格として期待される大谷は「来年に向けて、もっともっとチームとしても、個人としても成長して、最強になって戻ってきます」、長璃喜は「来年はチームの軸になって、日本一に向かって本気で頑張りたい」とリベンジを誓った。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 0-4 青森山田
0(前半)3
0(後半)1