この負けを次に繋げ、武南は全国を目指す GK前島拓実主将「もう絶対に負けたくない」

この敗戦を次に繋げ、武南は全国を目指す。令和5年度 第66回 関東高校サッカー大会・Aグループ準決勝(5月28日/AGFフィールド)。決勝進出を目指し八千代(千葉)と対戦した武南は、前半開始早々に先制したものの、その後2-4と逆転負けを喫し、3位で大会を終えた。

連戦ということもあり、霞ヶ浦(茨城)戦からスタメンを5枚変更した武南は前半3分、右サイドを俊足のMF大豆生田光(3年)が運び出し、中央へパス。これをFW文元一稀(3年)が繋ぐと、最後は10番のMF松原史季(3年)が右足を振り抜いて2試合連続のゴールで先制した。

1回戦はなかなか先制点が来ずに苦しんだだけに、幸先の良いスタートを切ったように見えた。しかし、その矢先の6分、PKを決められて同点にされてしまうと形勢は徐々に八千代に傾く。

前半は「ちょっと自分がという色が強くなってしまった部分があった。何人かでパックをしようとか、プレスバックをかけようっていうところの意識は、どうしても自分自分になってしまった分、距離感は縮まらなかった」(内野慎一郎監督)というようにセカンドボールに対しても1人目が対応しても、その周りの選手たちが反応できず、相手に拾われて苦戦。35分には縦パスを中央につけられると、GK前島拓実(3年)も前に出たが、1対1を沈められ逆転を許した。

流れを取り戻したい武南は後半からMF川上旺祐、MF戸上和貴、MF飯野健太(ともに3年)らを投入し一気に4枚替え。さらに15分過ぎには3バックに変更すると、徐々にフィルターがかかり始め、中盤以降は相手を押し込んだ。それだけに3分、12分と重ねた失点が痛かった。

31分に松原の左クロスから戸上がヘディングで決めて1点を返すと、終盤にかけても武南が攻勢に出る。35分には戸上が抜け出しから迫り、松原がこぼれ球を狙う。しかし、それ以上追加点を奪うことができず、2012年以来となるAグループでの戦いは志し半ばの3位で幕を閉じた。

松原は「1-1になった時もメンタル的には振り出しに戻っただけなので、あれだったんですけど、やっぱり2失点目となった時にチーム全体の士気がガクッと落ちてしまったかなというのはすごい感じていて……。後半の立ち上がりで2失点して、1点返してからは盛り返しましたけど、点を返すまでのその時間がすごい無駄だったなって。自分たちにとってやっぱりそこで落ち込んでいる時間はなかったんだなっていうのは、すごい終わってから後悔しました」と悔やむ。

主将の前島は「これが現状」と受け止める。「やっぱり関東に広がった時に自分たちのサッカーができない。そういうところでは未熟さを感じた。ハマればすごい良いサッカーができるし、自分自身後ろから見ていて楽しいところもあったんですけど、やっぱり関東のいろいろなタイプの相手とか、昨日だったら蹴ってくる相手で、後ろをがっちり固めてくる相手に対してなかなか自分たちで崩すことができなくて、史季がPKを決めて勝つことはできましたけど、不完全燃焼のところで終わってしまった。やっぱりみんな悔しい気持ちがあって、それが現状です」と話す。

この2試合で多くの選手がピッチに。「この2日間で良かった選手、うまくいかなかった選手、(選手自身が)ものすごいわかったと思うんですよ。だからその辺も良い経験ができたんじゃないかなと。これでインターハイがさらっと負けたら何の意味もないですけどね。でも、心に刺さるものはあったとは思います」(内野監督)。それぞれがピッチ上で感じたものを成長に繋げる。

6月3日からは夏の全国大会出場をかけたインターハイ予選がスタート。武南は10日の3回戦からの登場となる。前島は「今日もいろいろな方々が自分たちのことを見てくれて、武南を応援してくれている。そういう人たちのためにもインハイや選手権を取って、そういう界隈を賑やかにして良い報告をしたい。インハイ、選手権はもう絶対に負けたくないです」と力を込めた。

石黒登(取材・文)

試合結果

武南 2-4 八千代
1(前半)2
0(後半)2