慣れないクレーの環境も武南が粘り強く勝利!浦和東は後半追撃するもあと1点及ばず…

令和4年度高校サッカー新人大会は1月29日に南部、西部、東部の3支部の準々決勝を行い、南部の注目カードとなった武南と浦和東の一戦は武南が2-1で勝利し、準決勝進出を決めた。

武南にとっては、トップ、セカンドチームも含めて「ないですね」(内野慎一郎監督)という土のグラウンドでの一戦となったが、その中でも技術力を発揮して、難敵・浦和東を振り切った。

立ち上がりから武南は後方から組み立てながら、そこにMF髙橋秀太(2年)主将らも絡み、FW杉沢旭浩(2年)のスピードや伝統のサイドアタックを交えながら相手コートに押し込んだ。

浦和東の堅守もあり、なかなか得点に結びつけることができなかったが、前半29分に左SB島崎貴博(2年)が中に配球し、混戦を杉沢が押し込んで先制。37分には指揮官も「あいつは最近すごく良い」と話すMF髙橋俊祐(2年)が得意の仕掛けで右サイドで1人交わし、さらに2人目も外してクロス。ニアでMF戸上和貴(2年)が合わせ、これが結果的に決勝点となった。

心配された土のグラウンドでも高い技術力を発揮。キャプテンの髙橋秀は「慣れない部分はありましたけど、土でも芝でも、自分たちの技術っていうのはブレないものにしていかないとダメだと思うし、そういった面は土でも芝でも同じようなパフォーマンスを出せたと思う」と話す。

一方で反省も多く出た。特に後半は縦に速いアタックを仕掛けてきた相手に対し、バタつく場面もあり、追撃弾を許した。「中盤を省略して、前に飛ばされるシーンも多くて、そこをどういうふうに回収できるかというのがテーマだったんですけど、まだ全然完成度は低い。ドリブル、パスをうまく織り交ぜながら作っていくサッカーの中でこういう壁は絶対に出てくる。そこは判断の基準を色々高めていかないと、結果的に失点というのにも繋がってきてしまう。まだそこは全然成熟されていないので、これからちょっと鍛えていこうかなと」と内野監督は課題を語る。

昨年の選手権予選・武蔵越生戦でも出た課題であり、「何もやらせてもらえなかった武蔵越生戦から、どう改善するか」というのは今年の主題のひとつ。いま現在は「個の判断」に重きを置き練習を行っている。また、競争をもうひとつのテーマに置き、この冬の遠征でもメンバーを固定化せず。前日はこの日途中出場したMF大熊來瑠(1年)が先発するなど、選手起用も活発だ。

武南Jrで大山照人監督から薫陶を受けたマルチロールの高橋秀や鋭いドリブル突破を見せた高橋俊、ヘディングの強さのあるCB小金井遥斗(2年)も期待の選手。ひとつずつテーマをクリアしながら、ここにMF松原史季(2年)がうまく融合すれば今年も面白い存在となりそうだ。

一方、浦和東は前半こそなかなか攻める機会はなかったが、後半は前向きな守備からシンプルな配球で押し込むシーンもあった。9分にはDF鈴木諒(2年)が右サイドに振り、MF富岡璃音(2年)のクロスにMF森柊心(2年)が右足を振り抜いて追撃。終盤にはFW田中涼賀(1年)が粘り、FW伊藤夢大(2年)が放ったシュートは惜しくも枠を捉えることができなかった。

石黒登(取材・文)

試合結果

武南 2-1 浦和東
2(前半)0
0(後半)1