大会連覇・花咲徳栄の誇るダブルキャプテン 互いに支え合い、牽引した手嶋友那&大矢静佳

試合後の表彰式、2人の左腕に巻かれた腕章が誇らしい。連覇を飾った花咲徳栄のダブルキャプテン、MF手嶋友那とDF大矢静佳(ともに3年)は今年1年、ピッチ内外でチームを牽引した。

今シーズン、花咲徳栄が初めての試みとして取り組んだのがダブルキャプテン制だ。もともと、この代は手嶋が主将を務めていたが、コロナ禍での活動や手嶋ひとりに負担が集中してかぶさってしまうことを防ぐために、3月のめぬまカップから手嶋&大矢の2軸体制がスタートした。

総体予選は決勝で敗れ準優勝に終わったが、この初の施策は結果的に良い方向に働いていく。

末貴光監督は「2人ともやっぱり自覚が出て、プレーも良くなった。お互いにチームを引っ張っていくという立場にありながら、選手としても成長をどんどんしていったなというのが今大会にも結果に繋がったかなというふうに思います。2人は人格的に本当に素晴らしい子。(Wキャプテン体制にして)どんどん良い方に回転したかなというふうに思います。1人に偏り過ぎちゃうとどうかなという心配はあったんですけど、2人で切磋琢磨してやってくれた。主に“攻撃の軸”と“ディフェンスの軸”というような形で、役割は果たしてくれたかなと思います」と話す。

大矢は「自分が後からキャプテンとして入ったからといってチームが大きく変わることはなかったんですけど、自分が引っ張っていかなきゃいけないという意識もあったし、この大会に至るまでもピッチ内外を通して、自分自身もっと成長しないといけないなと思った大会でもあります。チームのことを常に考えて、自分の技術向上もチームの技術向上もどっちも考えながら、もっといままで以上に責任感を持ってやっていかなきゃいけないと改めて思います」と振り返る。

ピッチ内ではもちろん、ピッチ外での振る舞いにもこだわったという。「やっぱり監督、コーチからもずっと言われている通り、「ピッチ外はピッチ内を表す」と言われているので、チーム全体の意識をまとめるのもそうなんですけど、学校生活の中でも模範となるように自分たちがしないといけない」。練習後の片付けなども常に先頭に立って模範を示し、仲間たちを牽引した。

手嶋は「2人体制で自分ひとりじゃできないことも2人ならできることも増えた。自分も静佳を信頼していますし、「2人なら絶対に大丈夫」という安心感があります」と相棒への信頼を語る。「自分はみんなの前でしゃべったり、まとめて話すのが苦手なんですけど、そういうところを静佳がしっかり要点を要約してみんなに話してくれたり、周りが見えなくなってしまっても、静佳が客観的にチームを見て、こうした方がいいんじゃない? と言ってくれるのがすごく助かる」。

それに対し大矢は手嶋について「友那はチームのこともそうですし、個人個人のことも焦点を当てて考えてくれている」と明かす。「自分にできていない部分も友那ができていることもたくさんある。それを見習いながら、友那だけに助けてもらうんじゃなくて、自分も友那を支えるというか、協力して2人で積み上げていければ」。強力な信頼で結ばれた補完関係がそこにはあった。

迎えた今選手権予選。この夏ボランチからCBに転向した大矢は最後方のポジションからチームに安定感をもたらすプレーを見せる。準決勝の昌平戦では1点ビハインドの後半、セットプレーのこぼれ球に頭から飛び込む、気持ちが伝わってくるような同点弾で逆転への流れを作った。これには末監督も「もう脱帽です」と舌を巻いた。総体と同カードになった本庄第一との決勝もキャプテンマークを巻いてスタメン。前半押し込まれる中で「前回やられていたのがディフェンスラインからボランチにかけてだったので、そこに対する想いは強くあった。絶対にここは無失点で抑えようと言っていた」。裏への抜けだしを狙う相手に対し、集中した守備で猛攻を凌ぎ切る。

一方で手嶋はコンディション不良もあり、序盤の出場はなかったが、準々決勝の南稜戦からゲームに復帰。決勝もベンチスタートだったが、「必ずや0-0で帰ってきてくれれば、後半足が止まった相手に対しては効いてくる」(監督)とスコアレスで折り返した後半に大矢から腕章を預かり出場すると、切れ味鋭いカットインからのシュートや正確なクロスでゴールに迫り続けた。

試合は延長戦を超えてPK戦へ。そのPK戦で1、2本目を務めたのが大矢、手嶋だった。「南稜戦でもPKになって、必ずPKを蹴る時は自信を持って一番に蹴ろうと決めていた。緊張もあったんですけど、いままでやってきたものがあったので、自信を持って蹴ることができた」と大矢が1本目を決めると、「いままでやってきたことを信じて、あとは自分とみんなを信じて蹴りました」という手嶋が連続成功。これが効き、花咲徳栄は昨年大会に続き、大会連覇を飾った。

昨年の選手権予選、今年の総体予選と2大会連続でファイナルは怪我に泣き、今大会中も「やっぱり最後はみんなで笑って終わりたい」と話していた大矢は「やっぱりまずは2連覇という目標を達成できたのも嬉しいんですけど、自分自身このピッチで最後までみんなと戦えたことがすごいこみ上げてきて嬉しかったです」と優勝の瞬間は目頭に熱いものを感じたという。「やっぱりこのチームでタイトルを取ることもできていなかったので、そこの感動というか、やっと取れたという想いと、やっぱりいままで苦しい思いもたくさんしてきた中で、1位で関東大会に出場するということも目標にあったので、そこを達成できて本当に良かったなと思っています」。

手嶋も「この前のリベンジという形で優勝できたことはもちろん嬉しいんですけど」としつつ、「優勝という結果だけに満足しないで、まだ全然やれていないこともあるし、ピッチ内外でチームとしてまだ課題がある。しっかり反省するとことは反省して次に生かしたい」。個人としては、今大会は10番を背負って臨んだ中でチームを勝たせるゴールを奪うことができなかったのは反省点。「しっかり結果を残せる選手になれるように頑張ります」と関東大会での爆発を誓った。

試合後、2人の腕には誇らしげなキャプテンマークが巻かれていた。花咲徳栄の誇るダブルキャプテン、手嶋友那と大矢静佳。連覇の裏には互いに支え合い、牽引した2人の存在があった。

石黒登(取材・文)