エースの2発の花咲徳栄が今季2冠目!出場機会の少なかった3年生たちも躍動、指揮官も「チームと教えられた」

13日、高校女子総体予選の決勝が浦和駒場スタジアムで行われ、花咲徳栄と昌平が激突。前後半と2点ずつを奪った花咲徳栄が4年ぶり5回目の優勝で、新人戦に続き今季2冠目を飾った。

両チームは2月に行われた新人戦の決勝でも対戦。その際は1-1からのPK決着(4-1)だっただけに、今回も競った展開が予想されたが、悪天候の中でまったく違った試合展開となった。

花咲徳栄は井上らら(2年)、山本莉音(2年)をこの日はボランチで起用。「相手の8番(佐藤李那)と10番(新垣杏奈)がやっぱりかなり力がある。ここが繋がり始めたり、8番を前を向かせ始めるとちょっと厄介だなと」(末貴光監督)。前半はこの戦術がピタリとハマり、立ち上がりからこのダブルボランチのところで相手のドリブルの出所を潰しては連続攻撃に繋げていた。

すると15分、FW工藤千愛(3年)が敵陣右中間で獲得したFKを直接決めて先制。31分には工藤の右CKからこぼれ球を最後はCBの橋本琴音(3年)が右足で押し込み、追加点を奪う。

後半も5分に右サイドでCB 正木佑奈(3年)のパスを受けた工藤が左足で豪快にネットに突き刺しこの試合2点目とすると、その1分後には井上のシュートを相手GKが弾いたところをルーキーながら今大会全試合にスタメン出場したMF堅木風薫が詰めてリードを4点と広げた。

一方、前半は右SB湯浅仁那(1年)のクロスバー直撃のシュート1本に終わっていた昌平も後半に入り、MF佐藤李那(2年)、FW新垣杏奈(3年)にボールが入り始めると徐々に押し込む展開を増やす。左サイドでは途中出場のMF金澤道(2年)が鋭い突破をからゴールに迫った。

それでも花咲徳栄は試合を通じて跳ね返す力を見せていた橋本を中心に、正木、森田琉佳(3年)の3バックが最後まで安定した守備を見せ無失点で抑えきり、4-0で勝利。末監督は「ここまで差があるとは思っていないし、もっと競った展開になるんじゃないかと予想していたので、正直驚いています」と話していたが、悪天候の中でも各ポジションで上回り続け、完勝を飾った。

攻撃では10番を背負う工藤が出色の出来。指揮官も「潜在能力が高い」と話す、今年のエースは2ゴールのほかに、前線でのハードワークや雨中でも負けない馬力の強さを発揮した。「今日は素晴らしいピッチでできるということで、緊張せずに楽しんでプレーしたいという気持ちがあった。その気持ちがあったから良いコンディションで最初から最後までできた」と振り返った。

また、末監督はこれまで出番がなかった3年生たちの頑張りも評価する。今大会、花咲徳栄は新人戦はCBとして出場したFW村田叶海(2年)に加えて、MF田中伶弥(2年)が準決勝で負傷離脱。その中で決勝はMF熊川朱音(3年)とMF池端春乃(3年)がスタートで出場した。

熊川は本職のボランチではなく、一列前の2シャドーの一角としてプレーした中で果敢にプレー。先制点のひとつ前のシーンでは、熊川が競りに行ったプレーからFKを獲得、工藤のゴールに繋がった。末監督は「1年生が何人か出始めたところでだいぶ悔しかったんじゃないかと思う。準決勝に続き、今日もこういうピッチコンディションで、技術では見えない気持ちの部分は出るかなと思っていたので、その気持ちを前面に押し出してくれて上級生は頑張ってくれたなと。本当に「チームだな」というのを、3年生たちがことごとく教えてくれました」と目を細めた。

27日に開幕する関東大会では、2015年以来2度目の夏の全国大会出場を目指し、まずは1回戦で前橋育英(群馬)と対戦する。1年次から主力を務める橋本は「自分たちがもう一回全国という舞台で戦えるように、改善点をプラスに捉えながら準備していきたい」と意気込みを語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

花咲徳栄 4-0 昌平
2(前半)0
2(後半)0