3年生たちが頑張る「伝統」を体現、後半3発の花咲徳栄が逆転で連覇を狙う決勝へ!

令和4年度高校女子サッカー選手権大会・準決勝(19日)。前年女王の花咲徳栄と昌平の一戦は3-1で花咲徳栄が逆転勝ちし、決勝進出を決めた。この結果、花咲徳栄は全国大会に繋がる「関東高校女子サッカー選手権大会」への出場が決定、昌平は「関東高校女子サッカー秋季大会」に回ることとなった。花咲徳栄は連覇をかけ、25日の決勝で総体予選覇者の本庄第一と対戦する。

ともに技術力のある両校の一戦。まずペースを握ったのは初の決勝進出を狙う昌平だ。スタイルを示すドリブルと中央突破で押し込むと、前半16分にはMF新垣杏奈(2年)のシュートがクロスバーを叩く。スコアが動いたのは33分。この日ボランチに入った風間星(2年)がひとつ変化をつけてラストパス。これを受けたMF佐藤李那(1年)が右足を振り抜いて先制した。

花咲徳栄・末貴光監督は「本当に昌平さんは良いチームで、中央突破はわかってはいたんですけど、やはり少しボールの持ち方が甘くなると中央で良いボール奪取から良い攻撃というのをされて、本当に前半は昌平のサッカーだったなというふうに思います」と振り返る。立ち上がりは押し込めている場面もあったが、狙いとしているサイドで行ききれず苦しい流れになっていた。

それでもこの窮地を救ったのが、準々決勝後指揮官が奮起を期待していた3年生たちだった。5分、この試合初のCKを獲得すると、MF手嶋友那(3年)のキックにCB橋本琴音(2年)が競りに行き、こぼれ球をヘディングで押し込んだのはCB大矢静佳(3年)。キャプテンの気合いの一発で同点とすると、後半はこのゴールに背中を押されるように花咲徳栄が流れを掴む。

勝ち越し点も3年生。30分、MF島田果林のビューティフルミドルがゴールネットに吸い込まれ逆転に成功。43分には手嶋のFKをニアサイドに入ったMF山本莉音(1年)がヘディングで決めてダメを押した。守備でも後半はシュート0本に抑え、逆転での決勝進出を果たした。

同点ゴールの大矢、逆転弾の島田、キックで2ゴールを演出した手嶋と勝負を決めたのは3年生たち。末監督は「本当に一番頑張って欲しいし、一番頼りにしているのはやっぱり3年生なので、その子たちが結果を残してくれたのは嬉しかったです」と喜ぶ。5月の総体予選決勝は下級生が多く、試合によっては3年生はひとりという状況もあった中で、この一戦に当たっては「今日は何が何でも両外、それからCB、3枚はもう3年生でいこうと思っていた」と指揮官はいう。

人数が少ない中でも最後は3年生が頑張るというのは、花咲徳栄の「伝統」だ。4年前に全国8強入りした代もそうだったし、昨年も決勝でゴールを決めたのは滝沢美結(日本大1年)、平澤青季(筑波大1年)だった。今年の3年はそういった先輩たちの姿を見てきた代。島田は「本当にいつも助けてもらっていて、かっこよくて、すごく背中というか立ち姿というか、外で見ていても憧れるような存在」だったといい、大矢も「やっぱり自分たちに残してくれたものが大きかった」と話す。今大会に向けては3年生が決めた練習をひとつ取り入れたり、試合前の盛り上げや雰囲気作りなどの決めごとも手嶋、大矢のW主将を中心とした3年生たちに決めさせるなどといったことにもトライ。そしてこの試合では気持ちのこもったプレーで「伝統」を体現した。

石黒登(取材・文)

試合結果

花咲徳栄 3-1 昌平
0(前半)1
3(後半)0