昌平のネクストブレイク候補、MF大谷湊斗が全国決める決勝弾! 指揮官も「トップクラス」と称賛、F東京内定・荒井「ほかにはないものを持っている」

今年もMF荒井悠汰(3年)がFC東京に、キャプテンのDF津久井佳祐(3年)が鹿島アントラーズに内定を決めるなど、これで7年連続、合計16人の高卒Jリーガーを輩出している昌平。これまで数多くの名手を目にしてきた藤島崇之監督が「彼は自分が昌平で関わってきた中でもトップクラス」と賞賛するネクストブレイク候補がチームを2年ぶりの冬の全国大会に導いた。

スコアレスで迎えた後半17分、MF大谷湊斗(1年)はクロスを相手DFが弾いたボールを拾うと、「打とうとしたんですけど、敵が来たので1枚交わせるかなと思って切り返した。ゴールはあまり見てなくて、もう思いっきり振りぬいたって感じです」と1年生とは思えぬ落ち着きで切り返し、左足を一閃。シュートは相手DFに当たり、コースを変えてネットに突き刺さった。

ゴール後、先輩たちに覆いかぶらせながら祝福を受けた1年生アタッカーは「めっちゃ嬉しかったです」と笑みを見せた。これが決勝ゴールとなり、昌平は2年ぶりとなる選手権出場を決めた。

藤島監督も大谷への賞賛の言葉を惜しまない。「私が昌平で指導に関わってきた中でもトップクラスというか、本当に技術が高い。身体は細いですし、小さいですけど、ストレスなくボールを扱えて、ストレスなく判断の部分で見て変えられる、且つああいうふうに思い切ったプレーもしっかりできるという部分に関しては、これができると思って入れましたけど、それ以上の得点という結果に繋がったのは、彼の自信にも繋がるかなと思います」と殊勲のMFを讃えていた。

今季はセカンドチームの昌平Ⅱでメインにプレーしているが、ボールを失わない確固たる技術は先輩たちも認めているところ。この試合でも足下でもらいながら、得意のキープドリブルでボールは失わなかった。また、本来右足が利き足だが、決勝ゴールのように左足でもそん色なく蹴れるというのも強み。FC東京内定の10番MF荒井悠汰(3年)は「大谷はほかにはないものを持っている。あとは1年生でありながら、今日もそうですけど、チームを勝たせたり、得点とかアシストでいろんなアイデアを持っている。そこはすごくうまい選手かなと思います」と話す。

大阪府の出身。小5の時は天才キッズとしてテレビの企画で好きな選手に挙げるネイマールとキックターゲットで対戦したこともある。小6で通い始めたスクールがきっかけでジュニアユースは親元を離れ、全寮制のアメージングアカデミー(山梨県)へ。欧州最先端の指導メソッドを取り入れる同クラブでは「判断のところとか、認知のところは結構鍛えられました」と語る。

中3の時に出場したJCYインターシティトリムカップEAST 2021決勝でFC LAVIDAと対戦。PK戦の末に敗れたが、昌平と兼務するLAVIDAスタッフ陣の目に留まり、練習参加。「すごくレベルが高くて、先輩も優しくて、面白かったので」と好印象を受け、昌平への入学を選んだ。

高卒プロを目指す大谷にとって、高2でFC東京内定を決めた荒井は「憧れの存在」だ。「自分のドリブルからチャンスメイクできて、味方ともコミュニケーションがすごくて、めっちゃ喋りかけてくれたり、優しくしてくれる。身体も強いですし、やっぱり抜くドリブルがうまくて、キープもできるし、自分から仕掛けられる。そこを目標にしてやっていきたいです」。その荒井からは裏抜けの極意を教わっているそう。また、「もっと自分でどうにかするというよりもパスとかを使って、より最適な判断をしてやっていきたい」と昌平でプレーの幅を広げたい考えだ。

同学年ではDF上原悠都がU-16日本代表入り。大谷も「代表に行きたい」と意欲的で、そのためにも「全国で活躍したい」と語る。また、東山(京都)に進学した2つ上の兄・彩斗も選手権出場を決めた。全国の舞台での再会に「絶対に出て、勝ちたいです」と意気込む。代表にアピールするために、兄に勝つために、厳しいポジション争いを勝ち抜き、全国の舞台でも活躍する。

石黒登(取材・文)