1年生FW村田叶海が決勝弾、花咲徳栄が延長戦を制す! 4年ぶりの関東勝利で全国に王手
やはり簡単には勝たせてくれない舞台だ。それでもしっかりと勝ちきったことに価値がある。第31回全日本高校女子サッカー選手権大会関東予選が12日に開幕。埼玉第1代表の花咲徳栄は延長戦の末に幕張総合(千葉第2)に2-1と競り勝ち、4年ぶりの全国出場に王手をかけた。
「関東大会で一個上に上がると、攻守の部分だとか、走力の部分がやっぱりキーワードになってくる」(末貴光監督)。花咲徳栄は1トップに調子を上げていた村田叶海を、その下にMF井上ららと、機動力のある1年生を配置。左MFには「(ボールを)追える」下園舞桜(3年)が入った。その上でFWには勝負すること、中盤は芽を摘み、ディフェンスは前に出ることを求めた。
開始から勢いを持って攻めると前半9分だ。下園のスルーパスに抜け出した井上が「あそこから抜け出して、あの角度にシュートするのが得意」と右足で丁寧に流し込んで幸先良く先制した。
その後も10番MF手嶋友那(3年)をひとつ起点に、村田が右サイドを積極的に抉るプレー。先制ゴールの井上は12分、39分にもゴールに迫った。守備では手嶋とともに今季W主将を務めるCB大矢静佳(3年)がしっかりとカバーリングに入るなど、前半は被シュート0に抑えた。
しかし、後半は相手の攻勢に苦しんだ。「前線でのプレス速度もそうですし、やっぱり一番はセカンドボールを拾われて、そこからリズムを作られたことが要因だと思っています」(大矢)。
ロングボールやフィードの部分は花咲徳栄も練習を積んできた部分だが、逆に下に潜り込まれてセカンドボールの回収を許し、リズムを逸した。それでも最後の部分ではGK長谷川実乃里(1年)が奮闘。積極的に前に出て、身体を張った守備で立ち塞がる。35分に前目のポジショニングを突かれ失点したが、それを差し引いても指揮官が「影のMVP」と話すプレーを見せた。
延長前半が終わり、後半へ。PKも見え始めた時、決勝点が生まれた。延長後半4分、手嶋のFKをMF山本莉音(1年)がヘディングで競ると、こぼれ球に詰めたのは村田。「監督やコーチにもトップはゴールを目がけていけと言われていた。(ゴールの瞬間は)もう勝つんだという気持ちを胸に、押し込むことだけを考えていた」。最後は身体ごと押し込み、これが決勝弾となった。
花咲徳栄は全国8強入りした4年前の代以来となる関東での1勝。末監督は「関東のレベルがこの3、4年でものすごく上がって、どこのドローに入っても勝つのが難しい。今後についてもまだやっと1個勝ったんだなということで、ここからまだまだ道のりは険しいものになる」と話す。
内容的にも後半は課題の残るものとなったが、「でも今日はやっぱりこういう難しいゲームを取るというのは、そこは褒めたいなと思う。県大会も厳しい戦いをくぐり抜けてきて、それが関東にも生きたのかなと。競り勝ったというのが大きかった」と接戦をものにしたことを評価した。
これでベスト8に入り、7枠の全国切符に王手をかけた。指揮官は「4年前のベスト8を見て入ってきている子もいるので、なんとかあの地を、すごく真面目で一生懸命な大矢と手嶋に、また3年生たちに見せてあげたい」。そのためにも「(内容的には)まだまだダメ」と気を引き締める。
大矢は「全国に行きたいという想いもそうですし、自分たちが入ってきての3年間はコロナもあって、その制限された中で結果もうまく出せないというのを自分らはずっと見てきた。その先輩たちの想いを背負いながら、自分たちは全国を目指してやらなきゃいけない」と強い想いを語る。4年ぶりの大舞台へあとひとつ――。先輩たちの想いも背負い、必ず全国への復帰を実現させる。
石黒登(取材・文)
試合結果
花咲徳栄 2-1 幕張総合
1(前半)0
0(後半)1
0(延前)0
1(延後)0