後半に課題も前半4得点の昌平が決勝進出! 夏に続く全国へ、FC東京内定MF荒井悠汰「100%の力を出して戦う」

第101回全国高校サッカー選手権県予選の準決勝が6日に埼玉スタジアム2002で行われて、昌平と埼玉栄が激突。前半に4点を挙げた昌平が埼玉栄を4-2で振り切り、決勝へと駒を進めた。

昌平は鹿島内定のCB津久井佳祐(3年)主将がスタメンに復帰。この日もショートパスとドリブルを織り交ぜたスタイルで前半から押し込んで進める。9分、MF長準喜(2年)がドリブルで前進し、放ったミドルシュートは埼玉栄GK安達洸太(2年)の好守に防がれたが、11分、FC東京内定の10番MF荒井悠汰(3年)が右からのCKを直接ネットに突き刺し、先制した。

一方、埼玉栄はレギュラーSBの増島琉聖(3年)がコンディション不良で出られず、MF小川史門(3年)が右SBに入る4-4-2。昌平と戦う多くのチームがそうするように、守備的なシフトを引くのではなく、前線から激しくプレスをかけ、ボールを奪えばFW安倍颯汰(3年)や左MF樋口有斗(3年)主将を起点に、ドリブルとワンタッチパスを繋いでゴールに迫る。

すると失点からわずか4分後の15分、埼玉栄は樋口のパスを受けた安倍が単騎で仕掛け、DF3枚を一気に抜き去り中央に丁寧にクロス。これを準々決勝の細田学園戦で決勝ゴールを奪っていたMF沖中愛斗(3年)が走り込みながらダイレクトで合わせて、すぐさま同点に追いつく。

これが今大会初失点となった昌平だが、「ピッチの中で冷静に戦おうという声掛けもできていた」(長)というように慌てることなく、選手たちで中で声を掛け合いながらしっかりと修正する。

34分には荒井の縦突破からのクロスをFW鄭志錫(1年)がスルー、裏で受けた長が落ち着いて沈めて再び勝ち越し。39分にはMF土谷飛雅(2年)の左CKをCB石川穂高(2年)がヘディングで叩き加点した。さらに40分には荒井が持ち前の力強いドリブルでエリア内に侵入すると、中央で鄭、土谷と繋ぎ、最後は長がこの日2点目となるゴールを決めて試合を決定づけた。

長は「前回の試合で前目の選手で自分だけ点を決められなかった。正直どちらも、ごっつぁんゴールですけど、悠汰と飛雅のパスが良かったので、確実に決めることができて良かった」と話す。

失点後はさすがという展開でゴールを積み重ねた昌平だが、後半はややスローダウンする形に。
4分にMF篠田翼(3年)、11分に荒井、13分には鄭が決定機を迎えたが、相手GKの好守に加え、シュートミスや最後の部分でポストに当ててしまうなど、追加点を奪うことができない。

後半は相手にボールを持たれる状況も増え、中盤が間延びするようなシーンも出るなど、時間によっては流れを引き渡すような場面もあった。長は「自分たちのやりたいことというよりかは、やるべきことができていなかった。守備面も含めて改善すべき点がちょっと多かった」と話す。

埼玉栄は15分の沖中の狙いすましたシュートは惜しくも枠外となったが、27分、沖中とのパス交換でエリア内に侵入したMF荒井大和(3年)が個人技で相手DFを交わし右足で仕留め2点差に迫る。終盤には荒井大が再度決定機を迎えたが、ものにできず。昌平が決勝進出を決めた。

藤島崇之監督は「失点シーンはちょっと軽い部分もありましたけど、ただそこでしっかりと修正して、前半その後3点取れたというのがまずひとつ良かった」と前半の戦いを評価した一方で、後半は「4-1というところでもう1点という部分に関しては選手も落ち着いちゃったかなというところはあった。逆にそこからまたさらにゴールを奪いにいくという姿勢を持たないと、やっぱりカウンターのところだったり、栄さんはサイドに技術の高さと速さを持っている選手もいるので、そこはちょっとうまくいかなかった部分として掲げていかなければいけない」とした。

1年時から選手権予選を経験している荒井も「やっぱり決めないと。決められるところでしっかり決めないと、厳しくなってしまう。埼玉県予選はその1点の重みがすごく大事」と反省する。

全国を見渡せば流通経済大柏や静岡学園、帝京長岡、前日にはインターハイで準決勝を戦った帝京、矢板中央も予選で敗れるなど、選手権の難しさというのが前面に出ている大会となっている。

荒井は「やっぱり予選は何が起こるかわからないので、あと1試合しかないんですけど、その1試合にしっかり100%の力を出して、試合に出られない選手たちの想いを背負って、しっかり戦いたいと思います」とし、長は「まず今日の改善点を修正して、絶対に勝つというのが大前提。インターハイの悔しさも忘れていないので、(全国でリベンジするために)まず勝ちにこだわってやっていきたい」。そして「埼玉は絶対に昌平だっていうのを見せたい」と意気込みを示した。

この日出た課題を修正し、決勝では「埼玉は昌平」というサッカーを披露して王座を取り戻す。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 4-2 埼玉栄
4(前半)1
0(後半)1