リーグ6連敗からの19年ぶりの準決勝進出!浦和学院躍進のヒントはリスクを省き「自分らの強みを生かす」OBの浦和レッズMF安居海渡も応援に駆けつける

リーグ6連敗からの19年ぶりの4強進出―。第101回全国高校サッカー選手権県予選・準々決勝が10月30日、浦和駒場スタジアムで行われ、浦和学院と武蔵越生の一戦は浦和学院が1-0で制し、準決勝進出を決めた。第66回大会以来の決勝進出をかけ6日、成徳深谷と対戦する。

浦和学院は村松浩監督就任4年目で初の4強入り。指揮官は「毎年毎年その可能性がありそうかなと思いつつも、やっぱりそんな甘いもんじゃないというのを味わいながら、今年4年目にしてやっとベスト4というところまで進めたのも、とにかく選手たちが本当に辛抱強くサッカーをやっていくということを、ピッチ上で体現してくれた結果だと思います」と選手たちを称えた。

両チームともに立ち上がり、ロングボールを多様していく中で流れを握ったのは浦和学院だった。驚異的な高さを誇るFW上田海輝人(3年)のポストプレー、スピードに定評のあるFW石川真稀(3年)の2トップを起点に、サイドのスペースも有効に使いながら相手を押し込んだ。

武蔵越生は受ける形となったが、「ここを耐えれば後半絶対に点を取ってくれると信じて、チーム全員で前半は守り抜くという強い気持ちでやっていました」という主将のCB沼田大知(3年)を中心に粘り強く跳ね返し、守護神の関根拓郎(3年)が相手の強烈なシュートをブロックした。

浦和学院は前半得点を挙げることが出来なかったが、後半開始直後に武蔵越生の堅守を破った。4分、DF山岸優飛(3年)の右CKにニアに飛び込んだのは上田。「もう決めてやるという気持ちしかなかった。セットプレーになった時に「もうこれ来たな」と、「自分のボールだ」と思った。決められる予感しかしなかったです」というエースの豪快なヘディングで試合を動かした。

ゴールが必要になった武蔵越生は、3回戦の武南戦で途中出場から決勝弾を挙げたFW今野達也(3年)、MF安西歩夢(3年)、FW笛木亮成(3年)と攻撃のカードを切り、打開を図る。

それでも浦和学院は中盤をコンパクトにしながら伊藤日向(3年)、遠藤大河(3年)のCBコンビを中心に的確にロングボールを跳ね返し、相手に決定的な場面を許さず。1-0で勝利し、平成15年度に行われた第82回大会以来、19年ぶり5度目となるベスト4入りを果たした。

浦和学院は今選手権予選を迎える前の後期リーグ戦で泥沼の6戦全敗からの県4強入り。浦和レッズでアカデミーセンター長などを務め、育成年代をずっと見てきた村松監督も「本当に高校生というか、若い選手たちはやってみないとわからない」と話す。それでも「リーグ戦も全部負けた試合は完敗だっていう試合はひとつもない」と指揮官がいうように、自分たちの戦いが出来ていなかったというよりは、イージーミスなどでゲームを落とすというパターンが多かった。

その中で一発勝負の選手権で変えたのはまず「リスク」を省くこと。「リーグの失点のパターンっていうのを振り返ると、やっぱり少しリスクはあまりかけないようなことも考えないとねというところでの、その変な失い方がなくなってきたことによって、あまりやられなくなった」

「その中で自分らの強みである、空中戦だったり、背後をとって、スピードと高さで勝負していけれるぞというところで、少しずついろんな相手とやっていく中で、結果として繋がってきているのが、ひとつ彼らの「自分たちもやれる」という、そういう成長というか、1試合1試合こなしていくごとに、そういう自信がついてきているかなというのはちょっと感じますね」

リスクを省き、自分たちの強みを生かす。もともと人工芝元年の今年は「特徴が見える子がちょこちょこいる」と指揮官も話していた代。2回戦では関東予選覇者の正智深谷をPKまで及んだ激闘の末に撃破するなど、戦いの中で自信を深め、自信は成長を呼び、ここまでたどり着いた。

この日の試合には浦和学院OBで浦和レッズのMF安居海渡も激励に訪れた。安居、田中和樹(京都)の代はインターハイ予選で4強に入っているが、選手権は8強だった。その先輩たちも果たせなかったベスト4のその先へ。伊藤は「成徳深谷はそれこそまた蹴ってくるチームなので、自分の高さを生かして、守備をちゃんと組織して、無失点で勝ちたい」と意気込み。エースの上田は「まず目の前の試合」とした後に一言「絶対(全国に)行きます」と静かな闘志を燃やした。

一方、武蔵越生は、前半引水明けはほとんど相手のシュートを打たせず、狙い通りの「0」で終え、後半の選手交代でペースアップを狙っていただけに、交代の前に取られた1点が重く響いた。終盤は攻勢を強めていきたいところだったが、「今日に関しては攻撃が非常に単発だったかなと。うまく選手たちが近い距離感でできなかったり、芝に足を取られちゃったりというところで、思いのほか、チャンスを作れなかった」(監督)となかなか思い描いていたような形は作れなかった。

3年生の担任も務める井上精二監督は「人間的にも好感が持てる子が多い中でなんとしても全国という想いはあったが、連れて行ってあげられなかったのは自分の力不足」と肩を落とした。

石黒登(取材・文)

試合結果

武蔵越生 0-1 浦和学院
0(前半)1
0(後半)0