昌平は3位で大会を後に。「気づき」を成長に繋げて、後期プリンス、選手権に向けてまたさらに強くなる

3度目の挑戦もあと一歩届かず。令和4年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技は29日に準決勝を行い、初の決勝進出を狙った昌平は0-1で帝京(帝京)に敗れ、涙を呑んだ。

昌平は連戦による疲れを考慮し、前線のメンバーを変更。2列目は左に大谷湊斗(1年)、トップ下に伊藤風河(3年)、右に佐々木小太朗(3年)、1トップには鄭志錫(1年)とこれまでスタートではなかった面々がスタメンに。また、準々決勝の大津(熊本)戦で負傷離脱したCB津久井佳祐(3年)に代わって出た佐怒賀大門(2年)が引き続き、ディフェンスラインに入った。

昌平は立ち上がり、中盤でボールを奪い、ショートカウンターからチャンスを作る。前半7分にはそこで得たFKから、MF土谷飛雅(2年)のピンポイントクロスにDF上原悠都(1年)がヘディングで合わせゴールネットを揺らしたが、これは惜しくもオフサイドの判定となった。

さらに前半14分、中盤でボールをカットした土谷がドリブルで切り込みシュート。GKに弾かれたボールを再度詰めたが、これは相手CBの決死のブロックに遭い、ゴールとはならない。

一方、守備では藤島崇之監督が「身体は小さいですけど、サッカーセンスでしっかりと対応出来る」と話す佐怒賀が予測の高さを駆使して危険なエリアをきっちりとケア。津久井に代わりディフェンスリーダーを務める石川穂高(2年)とのコンビで帝京の強力なアタッカー陣に対抗する。

そして後半にかけては、前半ATにMF篠田翼(3年)を投入したのを皮切りに、後半開始からMF長順喜(2年)を、さらに9分にFC東京内定のエースMF荒井悠汰(3年)と「エネルギーとパワーを持っている選手」(監督)を送り出し、攻撃の活性化を図ってゴールを奪いに行く。

後半2分、石川のダイレクトボレーが枠を捉えたが、相手GKの好守に阻まれゴールとはならず。後半も一進一退の展開となる中で昌平も守護神・上林真斗(3年)もファインセーブを連発する。11分には帝京のエースFW齊藤慈斗(3年)の至近距離からのシュートに超反応を見せて防ぐと、13分にもゴール端を捉えたミドルシュートを横っ飛びで防ぎ、大津戦同様昌平のゴール前に壁を築く。攻撃では荒井がパワーのあるドリブルで前進し、アタックを牽引した。

しかし、後半26分、ポストに当たったこぼれ球を詰められて失点。昌平は34分、途中出場のFW小田晄平(2年)が1枚剥がしてシュートを狙うも相手DFが最後の最後に足を出してブロック。ATを向かえた38分には左SB武村圭悟(3年)のクロスから荒井が左足を振り抜いたが、ここも相手のブロックに遭う。終盤はロングボールからゴールに迫ったが、帝京の粘り強い守備を最後まで崩せず。0-1で破れ、2016、18年に続く、3位で大会を去ることとなった。

試合を終え、藤島監督は「こういった真剣勝負の中でしか学べないところは非常に多いと思う。こういったところでのチャレンジがチームとしての次に繋がるし、次に繋げられる状況になったと思うので、そこをまずはプラスに変えて、また次のステージ、選手権やプリンスリーグに向けて、勝負していきたいと思います」とコメントした。準々決勝・大津戦後はこうも話していた。

「『ステージが高くなった時にどういう経験をして、次にどういった気づきがあるか』という部分を大切にしていきたい」。今大会は勝ち進みながら5戦を経験。全員が出場時間を与えられた中で、激闘となった大津戦やこの日の帝京戦でどういう「気づき」を得ることが出来たのか。その「気づき」を成長に繋げられれば、さらにもう一段チームは強くなることが出来るはずだ。その成長をひっさげて、プリンス関東優勝からのプレミア昇格、そして選手権で日本一を掴む。

石黒登(取材・文)

試合結果

帝京 1-0 昌平
0(前半)0
1(後半)0