東浦和が堅守速攻で6得点で南浦和を撃破 7大会ぶりの県大会制覇

29日にNACK5スタジアム大宮で行われた「令和4年度学校総合体育大会」決勝は、さいたま東浦和中がさいたま南浦和中に6-0で勝利して、柏悦郎監督(現SFA専務理事)が率いて全国出場を果たして以来7大会ぶりの学総制覇を果たした。

試合序盤は左サイドからの好機を作る南浦和がペースを握るも東浦和も固い守備で最終局面はやらせなかった。東浦和中の広川和樹監督は「ボールを持たれたり、攻められるのは想定内だったので、しっかり守備をしてからカウンターを徹底した。必死にゴール前で守備をして、よく頑張った。前線には個の能力が高い選手がいるので、そこで勝負できれば勝機があると思っていた」と試合後にゲームプランを語ってくれた。

すると16分、東浦和がショートカウンターから10番の安藤大翔(3年)が放ったシュートがブロックされてCKに。そのCKを蹴った桐原隼吾(3年)のボールは直接ゴールに吸い込まれて、東浦和が先制をする。広川監督は「相手のGKの能力の高さは分かっていたので、早いボールを入れようという話をしていて、それが結果的には良かった」と先制点を喜んだ。

クーリングブレイク後からは、南浦和も盛り返して、今平啓太(2年)のヘディングシュートがクロスバーに当たるなどチャンスを作るも東浦和のゴールを割ることが出来ず、1-0で東浦和が1点をリードして前半を折り返した。

後半も1点のビハインドを追いかける南浦和がサイド攻撃からチャンスをうかがうも東浦和の固いディフェンスを崩すことができず。

広川監督は「攻撃力のあるチームだと分かっていたので、点の取り合いで勝つという気持ちで、1-0よりも4-3で勝とうという話をしていた。カウンターで点は獲れると考えていたので、相手を前がかりにさせて、後ろを薄くさせて、少ない人数で勝負させるかという所に狙いを定めていました」と語っていた通り、東浦和の先制点によって、南浦和も前掛かりになって同点を狙ってきた所で、試合を動かしたのは東浦和だった。

42分ロングボールを受けた柿﨑一歩(3年)が右サイドから力強いドリブルでペナルティーエリアに侵入すると、逆サイドでフリーだった前田竣汰(3年)にパスを出して、前田がゴールを決めて2-0とした。決勝で2ゴールの前田選手は「自分は決勝戦まで得点をあまり獲ることができなくて、アシストはありましたが、準決勝で1点を獲っただけで、点を獲らないFWはどうなんだとずっと思っていたのですが、決勝戦でゴールを決めることできて嬉しいです」とゴールを喜んだ。

57分には安藤大翔のパスを受けた柿﨑が相手ディフェンダーと入れ替わり、ドリブル突破をすると、GKと1対1になり、そのままゴールに流し込んで3-0とした。前線で個の能力を十分にみせた柿崎選手は「怪我をしたりして、大会を通して、なかなか得点をとることができなかったのですが、親の応援があったりして、やってこられたので、今日は気持ちで戦いました。今日は試合前から負ける気持ちが全くわかなかった」とメンタルの強さもみせた。

南浦和も3トップにして、最終ラインを3枚にする攻撃シフトに切り替えるが、後ろが薄くなった所を東浦和が逆に突く展開となり59分に安藤大翔がセカンドボールをヘッドでつなぐと、前田がディフェンスの裏を取り、GKもかわしてゴールに流し込んで4-0とした。さらに1分後の60分には、安藤大翔が無回転のミドルシュートを決めて5-0。安藤選手は「パスコースも少なかったので、自分でいこうと蹴った」と会心のゴールだった。

アディショナルタイムには、堀井大悟(3年)のスローインを受けた柿﨑がドリブルで相手ディフェンダーを2人、3人とかわすと、そのままゴールを決めて6-0とした。試合はこのまま終了して、東浦和が勝利した。

「後ろの2人がしっかりと守ってくれて安心感があったので、前としてもやりやすかった」と前線の選手からも信頼を受け、無失点勝利に貢献したセンターバックの中川世南選手(3年)は「守備としては点を獲られることも想定をしていて、獲られても諦めずに追い続けて、前の人が点を獲ってくれることを信じて抑えようと思っていた。1点目が入った時に、このまま無失点で抑えていこうという気持ちがあった。11番の選手がいて、南中の試合の映像を見てもサイドから11番に当ててというシーンがあったので、警戒をしていた。飛んでも勝てないので、しっかりと抑えて飛ばせない。飛ばせたとしても良い形でやらせないということを考えていた」と、充実の表情をみせた。

広川監督は「土合中には1年生の時から全く勝てない相手で、市でも準決勝でPK負けをしたので、まずそこにしっかりとリベンジを果たせた。決勝の南浦和中にも今まで一度も勝ったことがない相手だったので、リベンジを果たす良い舞台だという話を試合前にして、今までやってきたことをすべて出そうとピッチに送り出した。選手たちがそれを実現してくれた」と大会を振り返った。

そして関東大会に向けて、「8年前の優勝の時と同じ状況で、前回の優勝の時もさいたま市では3位で、県優勝から関東に出て、全国に出ているので、同じような流れを辿りたいと思っています。ここからは一つ一つチャレンジャーの気持ちで、全力ですべてを出し切って色々な方々の支えがあってここまでこられているので、応援にしっかりと恩返しができるプレーが出せるようにしていきたい」と関東大会に向けて意気込んだ。

東浦和中と南浦和中は、8月7日から山梨県で開催される関東中学校サッカー大会に挑む。

椛沢佑一(取材・文)

試合結果

南浦和中 0-6 東浦和中
0(前半)1
0(後半)5

大会結果


優勝:さいたま市立東浦和中学校


準優勝:さいたま市立南浦和中学校

第3位:川口市立西中学校、さいたま市立土合中学校