初の全国にあとひとつ、成徳深谷が決勝進出!正智深谷に続き、プリンス1部・西武台を撃破
令和4年度全国高校総体県予選・準決勝が15日に行われ、プリンスリーグ関東1部の西武台と準々決勝で関東予選覇者・正智深谷を下した成徳深谷が対戦。試合は1-1からの延長、PK戦の末に成徳深谷が勝利し、初の決勝進出を決めた。19日、昌平との初の全国掛けの試合に臨む。
自分たちの土俵では絶対に負けないー。成徳深谷・為谷洋介監督は「相手が序盤、どうやってくるのかなとずっと探っていたんですけど、やりあいに来てくれたので。やりあいに来るんだったら同じ土俵だから、そこはやってやろうじゃないか」と引かずにがっぷり四つで迎え撃った。
正智深谷戦同様、球際で戦い、セカンドを拾って前へ。DF鈴木嵐(2年)のロングスローからの展開には迫力があった。FW秋本光瑛、FW平井心瑛の2年生2トップも前半から攻守で精力的な働き。10分には平井が、17分には平井のポストプレーから秋本がシュートまで繋げた。
前半ラストプレーで今大会初めて先制点を許したが、失点してもやることは変わらない。前線から戦いゴールを目指すと後半7分、鈴木の左サイドからのロングスローから「前半は失点に繋がるFKを与えてしまった。ちょっと自分的には気持ち的にも落ちていたんですけど、先輩たちも励ましてくれて、監督にも喝を入れられて、しっかりとそこで気持ちを切り替えて、もう絶対に勝ってやるという気持ちで臨めた」という平井がヘディングで合わせて、同点に追いついた。
また、ディフェンス面では「声」で守備することを意識。前日の日本代表戦ではコミュニケーションのズレが守備の崩壊を生んだ。「コミュニケーションを取ることはすごく大事なこと。わかっていてもやられてしまうとしたら、声を掛け合うことでそれも守備になるんだからと」(監督)。
ディフェンスリーダーのCB増子颯竜(3年)を中心に声を掛け合いながらスキを作らず。また、増子は得意とするエアバトルでも絶対的な力を見せ、何度も西武台のボールを跳ね返し続けた。
試合はそのまま延長戦へ。延長後半8分にはセットプレーのカウンターからこの試合最大のピンチを迎えたが、守護神の木村航大(3年)主将が絶妙なタイミングで飛び出し、窮地を救った。
PK戦はサドンデスに突入したが、毎日本番を想定し静寂の中でPKトレーニングを積んでいるという選手たちは、落ち着いてGKの動きを見てゴールに蹴り込んでいく。木村も自信を持って飛び、相手にプレッシャーをかけ続け、最後は西武台のシュートがポストに当たり決着がついた。
勝利の瞬間、選手たちはスタンドへ。この日から制限なしの有観客となり、スタンドには全部員が来ていた。「関東大会の時は3年生だけだったんですけど、今回は1、2、3年生全学年が応援に来てくれて、やっぱり拍手とかはとても力になったので、ベンチに向かうというよりはもう咄嗟にスタンドに行っていました」と木村。インハイでは初となる決勝進出を全員で喜び合った。
選手たちにとってスタジアムでの試合はこれが2度目。1度目は4月の関東予選で、現3年生入学後初の4強入りを果たしたが、「スタジアムに行って満足みたいな空気感もあった」。今大会は「スタジアムで勝つ」ことを掲げ、指揮官も「成徳はナック5で勝ったことは1回もない。今年そういうチャンスが2回あるとしたら1回目は今日」と発破をかけた中で、ひとつ壁を破った。
もちろん、選手、スタッフを含め、まだ満足してはいない。目指すのは成徳深谷史上初の全国。木村は「自分たちが耐える時間がすごい長いと思うんですけど、浦北から始まって栄、正智と難しい試合をものにしてきたという自信もある。昌平戦も絶対に難しい試合になりますけど、昌平戦もしっかりとものにして、成徳史上初の全国を自分たちの代でいけたら」と言葉に力を込めた。
一方、西武台は前半41分、DF川口太誠(3年)のFKからDF長谷川智紀(3年)主将が決めて先制したが、悔しい逆転負け。後半はDF横谷崇悟(3年)を投入して3バックに変え、サイドに起点は作っていたが、そこからの部分で攻め急いだり、逆に時間をかけすぎて詰まってしまうなど崩しの形を見せられず、攻撃は10番のMF和田力也(3年)に頼る部分が大きかった。
石黒登(取材・文)
試合結果
成徳深谷 1(8PK7)1 西武台
0(前半)1
1(後半)0
0(延前)0
0(延後)0
8(PK)7