正智深谷の連覇の夢を阻む、成徳深谷が“深谷ダービー”を制し4強へ! 2度目のスタジアムも「自分たちが目指しているのは全国」と目線上へ
令和4年度全国高校総体県予選・準々決勝(12日)。成徳深谷と正智深谷の『深谷ダービー』は2-1で成徳深谷が勝利し、4月の関東大会予選に続き、2大会連続でベスト4進出を決めた。初の決勝進出を目指す成徳深谷は15日の準決勝で立教新座を4-1と下した西武台と対戦する。
安定した戦いで『深谷ダービー』を勝利―。為谷洋介監督は「今日は落ち着いて見ていられた。新人戦から今年の代が始まって、経験を積めてきている中で、ゲームごとに成長している姿がよく見える。選手がこちらが伝えようとしていることをみんなわかってやってくれている」と話す。
成徳深谷は立ち上がりからベースである球際や競り合いを徹底し、セカンドボールを拾って前へ。相手を押し込むと、「カギになる」と細部にこだわったセットプレーでゴールをこじ開ける。
前半19分、よくデザインされたプレーで、MF松田陽瑠(3年)の右CKをニアサイドでFW秋本光瑛(2年)がジャンプ一番、ドンピシャのヘディングで決めた。「やっぱりセットプレーは時間をかけているところでもあるし、自分たちの強み。チームとしてどこを狙うかというのを整理して、しっかり相手の前に入ることが出来た」という2年生FWの大会初得点で先制した。
また、直後にはDF鈴木嵐(2年)のFKからDF増子颯竜(3年)がヘッドでゴールに迫る。31分にはエリア内でFW平井心瑛(2年)が倒されてPKを獲得。MF和光翔夢(3年)のシュートは正智深谷GK望月奎杜(2年)にストップされたが、1-0とリードして前半を終えた。
流れを取り戻したい正智深谷はHT明けからFW外立翼(3年)がピッチへ。後半5分には外立を起点とした攻撃で、最後は左SBの冨岡佑太(3年)の狙いすましたミドルが枠を捉えたが、ここは成徳深谷の守護神・木村航大(3年)がビッグセーブを見せてチームを救う。するとその2分後、成徳深谷は平井のポストプレーからMF安野心富(3年)が流し込んで点差を広げた。
正智深谷は後半25分、冨岡のFKから途中出場のDF守屋隼希(3年)が決めて1点差に。活気づくイレブンはその後もクロスやセットプレーからゴールに迫る。しかし、成徳深谷は木村や増子を中心に粘り強く守って最少失点に抑え、連覇を狙った正智深谷を下し4強進出を決めた。
チームとしての完成度も上がってきた印象だ。後ろは木村、増子を中心に粘り強く守りながらゲームをコントロール。前線の平井、秋本の2年生2トップは謙虚に追いかけ、相手にジャブを与え続ける。また、和光、松田、安野、MF高橋流(3年)の中盤の4枚も守備意識が向上。セカンドボールを回収しつつ、ちゃんと危険なゾーンを埋める動きはこの試合でも多く見られた。
関東予選では4強に進出し、現3年生にとっても初のスタジアムを経験。大きな経験値となったが、「前回はスタジアムに行って満足みたいな空気」があったという。2度目のスタジアムでの試合へ、主将の木村は「自分たちが目指しているところは(準決勝、決勝の行われる)ナック(5スタジアム大宮)じゃなくて、やっぱり全国大会。あと2勝してそこを目指す」と力強く語った。
石黒登(取材・文)
試合結果
正智深谷 1-2 成徳深谷
0(前半)1
1(後半)1