昌平がMF土谷飛雅の劇的FK弾で競り勝つ! 快進撃・狭山ヶ丘はラストワンプレーに泣く

令和4年度全国高校総体県予選・準々決勝が12日に行われ、プリンスリーグ関東1部所属の昌平は狭山ヶ丘と対戦。スコアレスで迎えた終了間際、MF土谷飛雅(2年)の劇的FK弾で勝利を収めた。昌平は15日に行われる準決勝で細田学園をPK戦の末に下した武蔵越生と激突する。

昌平はU-17日本代表FW小田晄平(2年)、FW鄭志錫(1年)といったCFタイプの選手が怪我でメンバー外に。この日はU-17日本高校選抜MF篠田翼(3年)がトップでスタートした。

昌平は開始早々、U-17日本代表DF石川穂高(2年)がFKから抜け出しいきなりゴールに迫る。その後もショートパスを繋いで揺さぶりをかけつつ、MF長準喜(2年)のドリブルでアクセントをつけ、FC東京内定のMF荒井悠汰(3年)が9分、17分とフィニッシュにつけた。

しかし、なかなか崩し切ることが出来ない。市立浦和、浦和南と、S1勢連破で勝ち進んできた狭山ヶ丘はよく統制の取れた守備で昌平の攻撃に対応。人に対して強く行きつつ、常にスライドを繰り返してコンパクトな陣形を保ちスペースを与えない。また最後の部分でもDF佐藤里琥(3年)を中心に粘り強さ。32分のピンチはMF貮百免稜也(2年)がライン上でクリアした。

昌平は後半7分、FW伊藤風河(3年)を投入。伊藤がトップに入り、篠田が左SHにスライドする。後半は伊藤の身体の強さを生かして落とし、2列目の選手が飛び出す形でチャンスを作る。

後半12分には伊藤のポストワークからオーバーラップした左SBの武村圭梧(2年)が狙うもシュートはコースが甘くGKの正面に。30分には長の落としから伊藤が決定機、39分には右SBの田中瞭生(2年)のクロスに篠田がヘディングで合わせたシュートがクロスバーを叩いた。

なかなか得点出来ずにいたが、後半ATについにゲームが動く。提示された時間が経過した43分、HT明けから意識的に一列前でプレーしていたという土谷は敵陣中央でボールを持つと勢いのあるドリブルで一気に前進。するとこれが相手のファールを誘い、FKを獲得する。スポットに立ったのは左の荒井と右の土谷。荒井が蹴るものかと思われたが、キッカーは土谷だった。

「ドリブルに入った時にシュートを打てたんですけど、練習から結構FKを決めていて、ファールをもらってFK勝負の方がいいかなと。(キックは)ちょうど相手の壁も間が空いていた。ちょっとニアは無理かなと思っていて、だったら壁上を越してファーの方がいいかなと思った」

右足の狙いすましたコントロールショットをゴール左隅に沈め、ベンチに喜びの輪が生まれるとともに笛。相手の堅守に苦しみながらも、劇的ゴールで競り勝った昌平が準決勝進出を決めた。

藤島崇之監督は「これも想定内というか、やっぱり厳しいというか。相手が粘り強く対応してきて、すごく相手のディフェンスも良かった。とはいえ、最後こういうふうにセットプレーでゴールを奪うというのもひとつ、今年の良さだと思っているのでそれが出せて良かった」と振り返る。

主戦場とするプリンス関東では、ある程度オープンな展開となる中で、県では各チームが『打倒昌平』を掲げ、リスペクトを持ってリトリートしてくるのは織り込み済み。しかし、昨年はその包囲網を乗り越えることが出来ず、インターハイでは正智深谷、選手権では武蔵越生に敗れた。

それでも今年は精神的にも逞しくなり、セットプレーという武器も獲得。浦和東戦ではCKから石川が2ゴール、そして準々決勝でも土谷がFK弾と、固められた中でも仕留められるように。

「こういう勝負を勝ち切るというのも僕らも求めていく部分ですし、こういう状況を乗り越えていくことで成長に繋がると思うので、そこはちょっと前向きに捉えながら頑張っていきます」

試合終了後には、荒井から「すみません」と一言。今年は「もっとチームを勝たせられる存在に」と常々話しているからこそ、物足りなさを感じていたのだろう。FC東京ではすでにルヴァンカップでプロデビューも経験。レベルの高い環境で揉まれ、プレー面でも、精神面でも、大きく成長して帰って来た。準決勝の武蔵越生戦ではこの日の鬱憤を晴らすような結果でチームを導く。

石黒登(取材・文)

試合結果

昌平 1-0 狭山ヶ丘
0(前半)0
1(後半)0