高校サッカー関東大会 埼玉県予選 正智深谷 vs 慶應義塾志木

関東大会・埼玉県予選準々決勝。西武台高校グラウンド第2試合は正智深谷高校と慶應義塾志木高校が対戦。連覇を狙う正智深谷が2ー0で勝利し、準決勝に駒を進めた。

序盤から試合を掌握した正智深谷は前半7分に海老塚宝良が先制点。中央で受けると右にターン、フリーと見るや右足で突き刺した。「今大会ではFWがあまり点を決められていなかった。1週間シュート練習などで意識してやってきた」という3年生FWの一撃で1ー0とする。

以降もこの日先発に復帰したMF谷口瑛也が両サイドをワイドに使いながら長短のパスでゲームをコントロール。それを海老塚らアタッカー陣が攻撃につなげていく。

前半26分の追加点はセットプレーから。「コーナーキックでファーに出したのを折り返してというのを練習でやっていたので、その通りにできたかなと思う」とDF鎌田翔太郎。DF孫大河が競ったボールを押し込んでリードを2点に広げた。前半はほぼ正智深谷が慶應志木を自陣に押し込みながら、2ー0でハーフタイムを迎えることとなる。

しかし後半はボールを持ちながらも攻撃が停滞してしまう。中を固めてくる相手に対し、「表面上でしか回せていなかった」(ゲームキャプテン・DF福井康太)、「サイドに流れてくる選手も少なかった。センタリングもニアの相手に当たってしまったり、決め切るところのチャンスでふかしてしまったりで、流れを掴みきれなかった」(鎌田)。

後半21分にはMF西澤悠人のクロスから谷口が狙っていくもボールはゴールの上に。33分には西澤に代わって入ったFW原口大和がカットインからゴールに迫るが、これは相手GKに弾き出されてゴールとはならず。試合はこのまま2ー0で終了。後半はやや不完全燃焼に終わったが、正智深谷が危なげない試合運びでベスト4進出を決めた。

後半は前半の倍、8本のシュートを放ちながら得点に結びつけることができなかった。「後半は取り切ることができなかった。前後半通じて安定した良さに結び付けられないのはまだまだ」小島監督。「強いチームはうまくいかない時でもセットプレーで取り切る。それぐらいのしぶとさがほしい」と無得点に終わった後半のプレーを振り返った。

とはいえ、「いままでの2戦と違ってゴール前でFWがためを作れたり、少ないタッチでボールを動かせたりしたので、内容的にはほかの2試合よりもよかった」(谷口)。2回戦・川越南高校戦では攻撃に楔がついた時の前への意識が課題となっていたが、「今日は比較的良い形で攻撃できて、シュートで終われたことはよかった」と福井。監督をして「まだまだ未知数」というチームは、試合ごとに成長を遂げている。

準決勝の相手は2年連続で狭山ヶ丘高校に。昨年は1ー0で勝ったものの、相手のロングボール主体のサッカーに苦しんだ。今年も「そういったゲームになると思う」としながらも、「ボールを大事にうちらしいサッカーができれば」と指揮官は準決勝に向けた展望を明かした。

この日は他会場で昌平高校が浦和南高校に9ー0で勝利。2月の新人大会決勝では先制しながらも逆転負けを喫しており「その借りを返したい」と谷口。「次も勝って決勝に臨めるように頑張ります」と準決勝以降への意気込みを語った。

一方、敗れた慶應志木も後半は一時正智深谷を押し込む時間を作るなど、昨年覇者に最後まで食い下がった。山中智之監督は「自分たちができることはすべてやった。胸を借りて本当に良い経験ができた」と、この一戦を振り返った。

石黒登(取材・文)

試合結

慶應志木 0-2 正智深谷

0(前半)2
0(後半)0