攻撃に課題残すも守備でクオリティー 初のS1でも存在感を見せる武蔵越生がベスト8進出

令和4年度全国高校総体県予選・3回戦が11日に行われ、関東予選4強の武蔵越生は2-0で本庄第一を下した。準々決勝では2大会連続のベスト4入りをかけて、細田学園と対戦する。

ゲーム全体を振り返れば、決して良い流れとは言えなかったかもしれない。それでもうまくいかない時間帯でもしっかりと守って0失点。そして少ない決定機を決めきって勝利をものにした。

武蔵越生は前半26分、ゴール左斜め前方の位置でファールを獲得すると、FW出身のCB須田櫂舟(3年)が相手ブロックの意表を突く、技ありFKをゴール右隅に直接突き刺して先制した。

この調子で得点を重ねるかと思われたが、この日は相手のプレスに苦しみ効果的なパスを配給出来ず停滞。井上精二監督も「(出し手も受け手も)合ってなかったですね。本庄第一さんの切り替えが早くて、我々がちょっとモタモタしているとすぐにプレッシャーをかけられていたところはあったので、そこらへんはちょっとプレーのテンポが遅かったのかなとは思う」と話す。

本庄第一は初戦の春日部戦(1-0○)、今年のチームの特色である「真面目さ」がネガティブな方向に働いてしまっていたが、この試合では前線から勤勉にプレスし相手のパス回しを分断。そこからMF小倉颯太(3年)主将を中心とした切り替えの速い攻撃で逆襲する場面もあった。

武蔵越生は苦しい場面もあったが、そこで力を発揮したのが守備陣だ。「常々得点出来なくても0で戻ってこいというのは言っている」(井上監督)。前半20分、本庄第一はショートカウンターからMF木村祥太(3年)が決定機を迎えたが、武蔵越生は今年度の埼玉有力GKのひとり、関根拓郎(3年)が1対1を好セーブ。また、DF沼田大知(3年)主将、須田のCBコンビがロングスローをきっちりと跳ね返し、球際でもしっかりと身体を当てて相手の攻撃を防いだ。

今季は初のS1リーグ参戦にも関わらず、現在暫定首位と旋風を巻き起こす。その土台となっているのが、強固な守備だ。6試合6失点はリーグ最少タイ。須田は「うちのチームはもう守備が基本。守備が崩されたらもうダメなので、そこはやっぱり神経質になって、ワンプレーずつ声をかけたり、マークの受け渡しとかも結構、何度も試合中にも言ったりしています」と胸を張る。

すると後ろの奮闘に応えるように後半13分、MF笛木亮成(3年)が左サイドでボールを運び、前線のスペースにスルーパス。これをFW荒関龍(3年)が決めて2-0とし、勝負を決めた。

石黒登(取材・文)

試合結果

武蔵越生 2-0 本庄第一
1(前半)0
1(後半)0