シュートスキルの高さ見せた松女の10番。MF大山美博はポジションにとらわれずに2ゴール
松山女子の10番MF大山美博(3年)は後半に勝負を決める2ゴール。前半途中からは右SHから本職の左SHに移った中で「ポジションにとらわれずに、2得点とも右から打った形。自分の攻撃範囲を広げて、攻めに向かうという姿勢が一番良かったかなと思います」と振り返った。
1点目はボールカットから。「常にどこかでボールが漏れるんじゃないかというのを意識しています」。ボールを奪うと、右に流れながら右足で射貫いた「あのゴールが結構自分では好きです」。
そして2点目は「相手が予想しないところに飛び出すのが得意」という大山の意外性が詰まったゴール。右サイドで味方がスローインを得ると、「あっここ空いてる」と反対サイドまで受けにいく。するとボールを受けた背番号10は、そのまま右足でループシュートを突き刺してみせた。
「あの子の持ち味はミドルレンジでキーパーを見極めて、シュートをゴールマウスに決めるという良さがある」と江口洋監督が語るように冷静な目とロング、ミドルレンジのシュートスキルを持っている大山。今年は夏休みに左足を負傷し3週間の離脱。「負傷もあって軸足が弱い」というが、「うまく立て直してもうこの1週間でシュートも仕上げてきた」という成果を発揮した。
熊谷リリーズ出身の大山は、中学の男子サッカー部を経て、高校でもう一度女子サッカーに復帰。その中で「チームを盛り上げる上でも、女子はひとりが乗ったらみんなの気持ちが乗る。それこそベンチ外の子も、ベンチの子もみんなで応援しあえる。松女が、というのもあるかもしれないですけど、チームの雰囲気というか、明るい感じで試合にも臨める」と喜びも感じているという。
このメンバーとともにもうひとつ上へ。今年は背番号10とゲームキャプテンという大役を務める中でプレッシャーを感じ、一時期スランプに陥ったこともあるというが、それを逆にバネにして成長に変えてきた。初の決勝進出を狙う南稜戦でも「チームコンセプトの個を生かす部分は大切にしていきたい」。ひとつの集大成となる準決勝で「シュート」という個を発揮し勝利に導く。
石黒登(取材・文)