成徳深谷 為谷洋介監督インタビュー
就任14年目でチームを県No.1に
新人戦では支部からの参戦ながら、本大会で浦和学院、昌平、浦和東、西武台と強豪校との接戦を粘り強い守備で制し、初の県タイトルを獲得した成徳深谷高校。就任14年目でチームを県No.1に導いた為谷洋介監督に新人戦のこと、指導理念、そして今シーズンについて訊いた。
守備で深まった「繋がり」で県タイトル初制覇!
――まずは新人戦優勝おめでとうございます。改めて振り返っていかがですか?
ありがとうございます。うちは1月21日から始まったんですけど、2月の雪の影響でその次の週が流れて支部の準決勝が6日、決勝が8日になったんですね。それで県大会の1回戦が2月10日、2回戦の昌平が12日だったから中1日で1週間に4試合やるスケジュールだったんですが、うちにとってはかえって、それが良かったんじゃないかなと思います。間を開けて作戦を練ってやるよりも、勢いがあった中で戦えたのが良かったのかなといま思います。
――県大会も初戦の浦和学院戦に始まりタフな相手が続きました。
浦学とは2年前のインターハイ予選以来でしたが、割とうちは相手のスタイルがどうだからという感じではなく、相手の良さをうまく消しながらサッカーをやっていこうということで、いつもやっているので、2失点してしまったんですけど、慌てることなくやれたのかなと思います。まずは関東のシード権に繋がる8シードを取ることが第一の目標だったので、そういう意味では浦学戦は苦戦したんですけど、なんとかまとまってやれたなという感じでした。
――準々決勝は昨年5冠の昌平戦となるわけですが。
昌平は去年リーグ戦で2回負けていて、あとは関東予選のベスト16で当たって延長まで持っていったんですけど負けてしまいました。3連敗で来ているからなんとか、いまの自分たちの力がどれくらい昌平に通用するのかなというのが、正直僕としても、スタッフとしても、選手としてもありました。チャレンジするという意味ではすごく良い相手でしたし、去年は5冠を取っていますからね。なんとかここのところでどれくらい通用するのかやってみたいという思いはありました。
――戦略的にはどういう狙いを持っていたのでしょうか?
(1回戦の昌平対浦和南を見て)南高のプレッシャーよりもうちはもっといこうと思いました。南高も守備には定評があるチームだと思いますが、その南高のプレッシャーよりもっと相手をヘッドダウンさせるくらいまでプレッシャーに行かせようという狙いがありました。途中でスタミナが持たなくなる云々というよりも、まずやれるところまでやろうと話をしました。後半はプレッシャーに行ききれなくなる時間帯はどうしても出てくるから、その時には今度は全員でカバーリングしてなんとか塞ごうということで話をしていました。
そういった中で前半はうちのゲームだったと思います。先制点も取れたし、割とうちが相手の良さを消しながら、逆に高い位置でボールを取って相手コートでサッカーをできるような時間帯が長かった。大会を通じて昌平戦の前半のパフォーマンスがベストだったと思います。後半はやっぱり相手がシステムを変えて、サンドバッグ状態になるのはわかっていたので、それをどう耐えられるかなというところでした。ラスト3分前に追いつかれて、またやられるかなと思ったんですけど、でも相手の運動量も落ちたので逆に、これは延長戦の間に決着をつけられるかなとは思いました。そしたらロングスローからうまく相手のオウンゴールを誘えた感じでなんとか勝つことができました。
――準決勝の浦和東戦も接戦になりました。
平尾監督(信之・浦和東監督)とは県トレの関係でお互い情報交換したり、あとは戦い方のこととかいろいろなことで良い意味で意見交換をしています。だからそういう意味では浦和東戦はもうプライドをかけた勝負でした。引けないなというところで、相手も引かなかったし、バチバチのやり合いでいいということで選手も送り出しました。そうしたらやっぱりお互いにバチバチになってくると、どこで疲労してくるかだと思います。だから相手のディフェンスの子に少し疲労が見えたところで、うちの控え選手をパッと入れたらそこがうまくはまって、ミスマッチを起こしていけたというのが良かった。アシストも得点も仕事をしたのは1年だったのでそこはよくやったなと思います。
――西武台戦は県の舞台で初の決勝。苦しい展開でしたが、粘り勝って初優勝を決めました。
関東予選でベスト4は1回あるんですけど決勝進出は初めてだったので、ここまで来たらとにかくタイトルが欲しかった。ただこっちがあまり肩を上げてしまうと選手にも伝わってしまうかなと思ったので、準決勝に勝った勢いで思い切りやろうと伝えました。
今年のチームは守備を相当口すっぱく言っていたんですけど、そこで繋がりが強くなったと思います。やっぱり守備って繋がりだと。攻撃もそうなんですけど、守備は繋がりだから。そういう意味ではゲームの中でもこっちから言わなくても選手たちの中で修正したりとか、「ここのところいってくれ!」「このカバーに入ってくれ!」っていう言葉が出てきたから、そういう意味ではすごく試合ごとに成長していったのかなというのはありました。同点のPKを決めた間中(実来)もキッカーはいつも私が誰々って言ってしまうのですが、彼が自分で蹴ると言ったので、彼がもらったPKだし、あいつが責任をもってやればいいと、こちら側はあまり言わなくてもいいと思いました。その中で見事に決めてくれたので。延長に入ったら、もうとにかく勝負が決まるのはセットプレーなんだろうなとは思っていました。そしたら案の定セットプレーから決勝点になりました。そういう意味では勢いと、勝つごとにまとまってきたという感じの優勝だったのかなとは思います。
――西武台は3トップを含め攻撃陣がかなり強力でした。
もちろんそこは警戒していたんですけど、ビビって下がってしまうと相手の思うつぼなんだろうなと思っていたので、とにかくコンパクトにやっていこうというところでした。それは勇気を持たないとできないことだと思います。やっぱり怖いからラインを下げてしまう。だからそこのところは前に行けるように、コンパクトにずっとプレッシャーをかけ続けられるようにということは言い続けながら、そこはこちら側からいろいろとコーチングはしました。そこがズルズル下がらずにやれていたのかなというのは良かったですね。
――今年も守備は成徳深谷サッカーの肝になってきそうですね。
そうですね。私はいつも守備のところから入っていくので。そこでまず点差が開いてモチベーションや気持ちが下がってしまうとどうにも持っていけない。とにかく0ベース、0に近い時間を長くしようと。その中で相手も必ず隙はあるわけだから、そこを突いていこうということは考えています。そういう意味では今年のチームは先輩の姿を見ながら、成徳での自分の役割、ポジションでの役割、それからチームとしてどういうサッカーをしていくのかということを理解してくれた上での勝利だったのかなと思います。
――逆に新人戦で見えた課題はいかがでしょう?
やっぱりひとりひとりがまだボール扱いがうまくない。もう一回基本的なこと、基礎レベルの見直しと、あとは何ができて、何ができないかっていうところをしっかりと選手本人もわかることが大事なのかなとは思います。守備のこともまだはっきり整理されているわけじゃないのでもう少しそこも落とし込みをしながら、攻撃のパターンとかも選手に身につけさせられるようにしてやっていくことかなと思います。そのためには基本に立ち還らないとダメだと思うので、もう一回そこからやっていこうかなと思います。