正智深谷DF鹿倉颯太、得意のキックで武南撃破! お手本は初めて選手権に出場した時の10番

 

小島時和監督も「(キックは)抜群。めちゃくちゃ信頼してます」と話すレフティ。正智深谷DF鹿倉颯太(3年)が得意のキックから2ゴールに絡む活躍を見せ、武南の連覇の夢を打ち砕いた。

正智深谷はMF赤川空音(3年)のゴールで先制したものの、その3分後に耐えきれず失点。それでも「後半から勝負だなと。セットプレーは増えるだろうなと思っていたので、そこで自分のキックが生かせればいいなっていうふうに思っていました」という鹿倉が後半の主役となった。

1-1で迎えた後半27分、正智深谷はFW中島亜漣(3年)がゴールエリア手前で倒されてフリーキックを獲得。スポットには鹿倉と10番をつけるMF近藤七音(3年)の2人が立った。

実は試合前日も「まったく同じところ」からフリーキックの練習をしていたという鹿倉。「たまたま同じところでファールがあったので、もう俺が蹴るって。(近藤からも)「蹴っていいよ」みたいな感じだった」。左足から繰り出されたボールは「もっと上から落とすつもりだったんですけど」と話すが、ゴール右隅の絶妙なコースに突き刺さり、これが結果的に決勝ゴールとなった。

さらに30分にはコーナーキックから3点目にも絡んだ。「ニアあたりにハイボールを出せば何か起きると思った。そこも狙っていた」。DF長南結人(2年)のヘディングは相手のオウンゴールの判定となりアシストはつかなかったが、それも鹿倉の高精度の左足があってこそのものだ。

「キックは監督からも、ちょいちょいセットプレーの時とかも言われつつ、ちゃんと自信を持って蹴るっていうのはありました」と自信を持って2ゴールに関与。キックは「自分の得意なやつ」と話す、「縦に落とす」ボールに加え、うまくその場の状況に使い分けて複数種類を蹴り分ける。

キックのお手本は身近にいる。清水和哉コーチだ。清水コーチは2012年に正智深谷が全国高校サッカー選手権に初めて出た時の10番。「めっちゃうまいです」(鹿倉)。そのキックを身近で見ながら学び。また、浦和レッズが好きなこともあり、柏木陽介のキックはよく見ていたという。

まだディフェンス面や安定してプレーするというところは課題だが、得点源としても期待のレフティは「絶対に優勝しないといけないし、優勝した上で、その後のインターハイとかリーグ戦、選手権で上の順位を取っていくために、ここからまたもっと成長できていければいいかなと思っています」と意気込み。2年ぶりの優勝を目指し、次も自分のキックからゴールをこじ開ける。

石黒登(取材・文)