昌平FW鄭志錫、「人間性」大事にする1年生FWが2G ゴール追求し「唯一無ニのエースストライカーに」
準々決勝の立教新座戦、昌平はFW鄭志錫(1年)が前半2得点を挙げてチームを波に乗せた。
前半13分、MF荒井悠汰(3年)のカットインとともに動き出し。「悠汰がカットインして、左足で持った瞬間をファーに動いて、悠汰のクロスを待つ、一連の暗黙のルールというか、通じるものはあったんで、そこでドンピシャで合わせられてよかったです」とヘディングでゲットした。
さらに41分には、右CKをDF佐怒賀大門(2年)が競ったボールに詰めると、一度目はDFに防がれたが、諦めずにもう一度詰める“らしい”ゴールで勝負を決めた。「もう自分が絶対に点を取って活躍する、1週間最高の準備をして活躍するというのは思っていたので、最後は魂で押し込めて良かった」。ゴール後は喜びを爆発させるように咆哮し、特大のガッツポーズを見せた。
「昌平にはいろいろなタイプの違うFWの選手たちがいて、競争は激しいんですけど、そこで自分が出るチャンスをもらえたら必ず点を決めて、チームのために貢献しようと思っていたのでゴールという形で貢献できて良かった」。チームには長身で多彩なシュートバリエーションを持つU-17日本代表の小田晄平(2年)やフィジカルの強い伊藤風河(3年)、平叶大(2年)と、さまざまなタイプのFWがいるが、鄭の自分の売りについて「やっぱりポストプレーだったり、ワンタッチプレーでクロスへの入りだったり、点を取るところ」とし、「その点を取るところをもっとより追求して、唯一無二のエースストライカーになれればなと思っています」と話す。
その唯一無二のエースストライカーを目指すべく、オフ・ザ・ボールの部分では古橋亨梧のプレーを、ゴール前での身体の使い方や飛び込み方はルイス・スアレスを参考にしているという。
また、グラウンドで顔を合わせれば、座っていてもすぐに立ち上がって挨拶に来てくれるグッドガイでもある。藤島崇之監督も「やっぱり(人間的に)気持ちが良いというか、気持ちも強いですし、みんなからも好かれている選手」とプレー面だけでなく、その人間性も高く評価している。
「小学校の時から親とか先生にも人間性の部分は厳しく言われていて、LAVIDAに入っても一番大事なのは人間性と3年間言われ続けてきたので、その人間性の部分では誰にも負けない自信もありますし、人として成長できればもっとサッカーも向上していくと思うので、まずは人として成長することを毎日心掛けて生活しています」
もともと中1の時は部活動に所属していたが、「もうちょっと高いレベルでやりたいと思っていた」と言い、知人のつてで村松明人監督と繋がり、練習参加を経て1年の最後、本格的には2年からLAVIDAでプレーを始めた。ちなみに当時LAVIDAのことは「まったく知らなくて(笑)」。それでも「LAVIDAに入れたことは、自分にとって本当に分岐点だったと思います」と語る。
LAVIDAではDFやボランチなど、様々なポジションを経験。「ポジション変えることによって、FWの受けたいタイミングとか、受けてほしいタイミングとか、 逆の立場になって見ることができたので、その経験はいまになって非常に大きかったと思います」とプレーの幅を広げた。
中3でFWとなり、人間性を買われ、主将に就任。夏は関東で敗れ、涙を流したが、その悔しさをバネに、スーパーサブとして出場した昨年の高円宮杯ではチームトップの4得点を記録し、全国準優勝に大きく貢献した。年明けには早々に高校に合流し、ニューバランスカップでもゴールを量産している。今年のプリンス関東1部の開幕戦ではいきなりのスタメン出場も果たした。
一方で、今夏のインターハイでは、チームが全国3位になる中で自身としては悔しい想いも。「インターハイはほぼベンチで見ていて、自分が出られなくて負けたのは本当に悔しかった」。夏は走力や腿周りの筋力アップに取り組み、フィジカル的にもひとつ太くなることに成功。「全然試合に出られなくて、悔しい想いをしていた。けど、そこで腐ることなく、最高の準備を毎日毎日できたので、今日本当に2ゴールできて、めっちゃ嬉しかったです」と結果が出たことを喜んだ。
昨年の高円宮杯、今年のインターハイに続く、3大会連続の全国出場を目指す1年生FWは「選手権こそは自分が試合に出て、自分が点を決めて、自分がチームを勝たせる存在になって、冬は全国1位を狙いたいです」。そのためにも日々最高の準備をして、そしてゴールを積み重ねる。
石黒登(取材・文)