指揮官期待の2年生MFが劇的決勝弾! 武南MF齋藤瑛斗は「勝ち取っていく」とスタメン奪取へも意欲

指揮官も期待する守備的MFが、この日は劇的決勝ゴールという形でチームの窮地を救った。

関東大会1回戦の韮崎戦、武南MF齋藤瑛斗(2年)は後半20分から途中出場。チームとしては2点先行から後半に追いつかれる難しいゲーム展開の中で延長前半7分、その瞬間が訪れる。

MF山本昇汰(3年)から中盤でパスを受けると齋藤は迷わずにドリブルで前進する。奥にはMF戸上和貴(2年)がおり、スルーパスもよぎったというが、トラップがやや前方に流れたことで「もうこれは思いっきりジュートを打つしかない」と右足を強振。「もう完璧にミートして入るなと思った」と自信を持って打ったシュートがネットに突き刺さり、これが決勝点となった。

「途中出場だったんですけど、なんかしらゴールでチームに貢献したいと思っていたので本当に嬉しかった」と齋藤。内野慎一郎監督も「あそこでドリブルで運んでくれたっていうところの勇気とか、やっぱりパスに逃げちゃうんじゃなくて、あそこを打開出来る人間がひとつ取れるとチームもすごい盛り上がる。それが2年だったというのが嬉しかったですね」と讃えていた。

ゴールが決まったのを見届けると、すぐさま仲間たちが待つベンチへ駆け出す。そこでまず始めに齋藤を迎えたのはMF松原史季(2年)だった。これにはエピソードがある。松原が明かす。

延長戦が始まる前、松原やFW杉沢旭浩はすでにベンチに下がっており、ピッチの2年生は齋藤と戸上の2人だった。そういった中で「お前らが3年生に花を持たせるんだぞ!」と背中を叩いて送り出したという。齋藤も「それでやっぱり火が付いて、やってやろうという気持ちになった」という中での決勝弾。「痺れましたね。ちょっと決まった瞬間泣きそうになった」という松原を筆頭に2年生全員が感極まったというのは想像に難しくない、そんな劇的なゴールだった。

「相手のボールをしっかり刈り取って、前への攻撃に繋げるところが自分の武器」と齋藤。レアル・マドリードMFカゼミーロのように「自分のプレーでチームを鼓舞して、チームを引っ張っていけるような」選手が目標だ。春先には内野監督も守備の成長株として期待を寄せていた。また、得点機のようにボールを持ち出すプレーも「最近練習でもだんだんチャレンジしていって、自分でも自信がついてきて、どんどん試合でもチャレンジしていきたい」と自信を深めている。

まだスタメン獲得には至っていないが、松原は「ああいう力が必要になってくる。スタメンに食い込める選手だと思う」と話す。齋藤も「やっぱりこういうところで勝ち取って、自分をどんどん出していけたらいい」と出た試合で結果を残しながら、スタメン奪取に意欲を燃やしていた。

石黒登(取材・文)