武南MF松原史季が見せた『進化』の兆し より攻撃的に、「質にこだわった」FKでビューティフルゴールも

予選から1ヶ月。関東大会1回戦の韮崎戦で武南MF松原史季(3年)は進化した姿を見せた。

ダブルボランチからボールを引き出し、積極的に前へ。また「前のFWとの距離感を縮めるのを意識していた」という松原はセカンドボールへの意識も高く、回収しては仕掛ける姿勢を見せる。

すると前半32分にこぼれ球に反応し、ファーストタッチで相手DFを交わしに行きPKを獲得。これを自ら決めて先制点。さらに37分には意識していたセカンドボールの回収からゴール前で相手のファールを受けると、右足でゴール右隅のここしかないコースに決めて2点目を奪った。

特に2点目のFKは圧巻の一言。「FKもCKもそうなんですけど、今日は相手が190cm台ということで、やっぱりスピードがないと簡単に取られてしまうのはわかっていたことなので、キックを抑えつつも、しっかり枠に飛ばすのを意識した。イメージ通りの場所にしっかりと蹴れたので、蹴った瞬間入ったと思いました」。相手の193cm長身GKも反応していたが、それでもほぼノーチャンスと言えるほど、スピード、コントロールともに完璧な一発をネットに突き刺した。

ゴール後には「見たか!」と咆哮。つい最近までキックの調子が上がらず、キッカー交代というような雰囲気も感じ取っていたという。「やっぱり1年からずっと蹴らせてもらっていて、ちょっとマンネリ化していたところがあった。もうちょっと質にこだわらなくちゃいけないというのは自分でも薄々気づいていた」「取られたくないという自分のプライドというか気持ちが今日の得点に繋がった」。そういった積み重ねてきたものがあったからこそ溢れ出した想いだった。

予選では「個人としても、もう一段階成長するために、やっぱりフィニッシュの精度と得点やボールに関わる回数をもっと増やさないといけないと感じている」と今後の課題を話していた。

そういった中でこれまでは中盤に落ちてMF森田颯(3年)、MF山田詩太(2年)とともにゲームを作ることも多かったが、予選後はトップ下というよりは1.5列目やよりFWに近いところでのプレーを意識。ボールを受けたらとりあえずシュートを狙うことを心がけているという。

「これまでは自分の長所だけを伸ばすことをやっていたんですけど、いまは自分のまだまだ足りないところを意識してやるようにしている。今日はロングボールが入った時に自分がそこに走り込んでいってセカンドボールを拾うという、いつもになかったことが出来たかなというのはあるので、もっと回数を増やして、あとはもう少し前でボールを受けられるように。フィニッシュの部分でもセットプレーですけど、2ゴールに繋がったのは良かったかなと思います」と松原。まだまだ課題があることも自覚しているが、それでも少しずつ進化の兆しを見せている。

翌日の準決勝・前橋育英戦では浦和レッズJYの先輩、MF大當泰生、MF茂木碧生(ともに3年)の警戒を受ける中で苦しんだ部分もあり、「相手がマークしてくるのは当然のことなので、やっぱりそれをわかっていても振り切れる選手というのはもっと追求していかないといけない」。0-1の後半には決定機を作っただけに「やっぱりそこをしっかり決めきらないと」と反省していたが、この経験もステップアップに変えて、インターハイ予選ではさらに進化した姿を見せる。

石黒登(取材・文)