再スタートを切った武南。1位トーナメント進出ならずも貴重な「試し」の場に【イギョラ杯】

イギョラ杯に臨んだ武南は予選リーグを2勝1敗とするも、惜しくも1位トーナメントに上がることはできず。それでも今年初の実戦の場で感じたこと、手にしたことも多かったはずだ。

今大会は新潟U-18が辞退したことにより急遽参加が決まった形だが、久々の対外試合ということもありモチベーションも高かったという。そういった中で予選リーグ初戦は昨冬の選手権にも出場した藤枝明誠を相手にMF水野将人の2ゴールを含む3-1で勝利し白星発進を決めた。

しかし、第2戦の成立学園戦では守備面での判断ミスも目立ち、1-3で敗戦。予選リーグ最終戦となった矢板中央戦は、その前の試合で成立学園が藤枝明誠に勝利し2勝1分としていたため1位トーナメント進出は絶たれていたが、前半11分にMF森田颯が2試合連続弾で先制すると後半も途中出場のMF橋本海七大、FW萩原康太が決めるなど3-0勝利で締めくくった。

予選を終え、内野慎一郎監督は「チームを作っている段階でいろいろ試しながらという状況の中で課題も見つかり、良い2日間だった」とした。チームとして大事にしているディフェンスラインからの組み立てはプレースピードが速くなる中で落ち着かない部分が出てしまったのはひとつ課題。それでも予選を通じて崩しの中から点に繋がったのはプラス材料だ。「いろいろなやり方のチームがあって、そこで自分たちのやり方をどうやって当てはめていくのかというのはすごく良い経験になった」と指揮官。そういった「試し」をこの舞台で実践できたのは大きい。

今年のチームは下の学年からの突き上げもあり、新3年生と新2年生がバランス良く組み合わさっている印象。新2年生では前橋FC時代に全国も経験し、今年新たに10番を託されたFW櫻井敬太、MF山田詩太、予選最終日に2ゴールを挙げた森田が印象的なプレーを見せていた。新3年生ではやはり快速ドリブラーの水野がエースを担うことになるだろう。また、試合中は新3年に対し、内野監督からあえてきつい要求を課すことで責任感を促すシーンも見られた。

まずは再スタートを切った武南。この経験を糧に今年はどんなチームとなっていくのか。久々のプリンス参入を目指すS1リーグ、そして最初の本番となる関東大会予選が楽しみだ。

石黒登(取材・文)