伊奈町立小針中学校

イナコチョウリツコバリ チュウガッコウ

活動拠点伊奈小針中学校グラウンド
練習日月曜日から金曜日 朝練7時20分から8時(水曜日はなし) 4時から4時半(夏場は5時45分まで)
HPアドレスhttp://kobari-jhs.sakura.ne.jp

ディフェンディング・チャンピオンの土合中学校が1回戦で早々に敗退、前年度4強を独占したさいたま市勢が姿を消していく中で新人戦の頂点に立ったのは伊奈町立小針中学校だった。

組み合わせが決まってからU-13大会で敗れた「打倒常盤中」を掲げて臨んだという新人戦。2回戦の川越市立砂中学校戦では常に先行を許す展開もセットプレーから3得点を奪って逆転勝ち。そして迎えた対常盤戦は1年前に完敗を喫した相手に2ー0で勝利しリベンジした。

2年前の新人戦で準優勝、翌年の学校総体では3位と先輩たちが届かなかった頂点。次を考えた時にすぐに目標は「優勝」に修正された。準決勝で朝霞市立第一中学校を2ー0で下すと、決勝は昭和58年度に新人戦と学総の2冠を達成した東松山市立南中学校との対戦となった。

試合はスコアレスで折り返すと後半2分にショートコーナーから10番のFW柴崎健斗のゴールを皮切りに、20分には途中出場の1年生ウイング・大吉直弥が追加点。さらにアディショナルタイムにはキャプテンのDF土田陸人が果敢なオーバーラップから最後はキーパーをかわして3ー0とし、先輩たちが果たすことができなかった悲願の県大会優勝を成し遂げてみせた。

体格的に勝る選手が多いわけではない。むしろ上位に進出した他校と比べれば小さい選手の多い印象だったが、1年間こだわってきた「デュエル」の部分でも最後まで見劣りしなかった。「練習の最初に必ず体幹トレーニングを入れています。身体の軸の筋肉をしっかりつけて、押されても簡単にバランスを崩さない身体を作るところからやってきました」と鬼塚勲監督。

基本スタイルはポゼッションサッカー。前線だけでなく後方もパス技術が高く「しっかりと後ろから組み立てられるのは小針中サッカー部の強み」だ。一方でそこにこだわりすぎるといったこともなく、新人戦では多彩なセットプレーからもゴールを量産するなど力強さも見せた。

長年外部指導者を務める堤皇人コーチの存在も大きいという。現在は1学年約20人が在籍する中でAチームを堤コーチが、Bチームを鬼塚監督が担当する。もうひとりの顧問である角田充弘コーチも名門・武南高校出身と3者ともにサッカーを専門に教えることができる環境というのもなかなかないだろう。充実した指導環境が整っているのも伊奈小針の特徴のひとつだ。

練習は攻守に走る前提の中で「指導者の言葉の裏をついていいんだよと」と選手のアイディアを尊重。「なんでこの練習をやっているのか、どうやったら練習の目的は達成できるのか。それを考えてやりなさいということはすごく言っています」。冬の時期は練習時間も短い中で、各々がしっかりとひとつひとつの意味を考えながらプレーすることで効率を最大化している。

また「学校生活が緩い奴はボールを蹴る資格はない。教室と部活で温度差を作らなうように」と生活態度も徹底。話を聞く態度、挨拶をする態度ひとつにそういったことを感じさせた。

初優勝を経て次の照準はもちろん学校総体だ。「新人戦の決勝が終わった後の部長の子のインタビューにもあったんですけど、学総は関東や全国に繋がる。やっぱりまずは関東に出ることをチームの次の目標にして残り半年でチームづくりをしていきたいなと思います」と指揮官。2016年大会で鶴ヶ島市立藤中学校に破れ、惜しくも逃した関東切符を今後こそ掴み取る。

石黒登(取材・文)