日本代表MF長谷川唯らを輩出した“戸木南ボンバーズ”のDNAを継ぐGRAMADO FC TOKINANが新人戦3位に。今年は関東を通過点に、初の全国を目指す

「第9回埼玉県女子ユース(U-14)サッカー新人戦大会」最終日(13日)。GRAMADO FC TOKINANと越谷レディースファミリーの3位決定戦は1-0でGRAMADOが制した。

両雄は予選グループ(Aグループ)で対戦。その際はGRAMADOが4-0で勝利していた。

試合は立ち上がりからGRAMADOが押し込みながら相手コートで進める中、越谷は10番のDF藤井周が中心となって組織だった守備。徹底して中央のスペースを消して相手の猛攻を凌ぐ。

GRAMADOはその守備網を崩すのに苦戦。「入り方は良かったけど、決めきるところで決めきれず、自分たちで苦しい展開を作ってしまった。自分たちで慌ててボールを失っていることも多かった」とMF山本瑞季主将が言うように前半は自分たちのリズムを作ることが出来なかった。

それでも「もう1回チームのやり方を落とし込んで、自分たちのリズムを作ってボールを動かしながら崩す」(川辺拓真監督)ことをHTに再確認。後半はボールを受けるアクションや足元だけでなくスペースを使ったプレー、2列目からの動き出しも増え、前半以上に相手を押し込む。

後半13分の得点は練習からやってきた形。山本がエリア右をえぐってクロスを送ると複数枚がゴール前へ。途中出場のFW村上海来のシュートはポストに嫌われたが、こぼれ球をMF藤原かのんが冷静に落とし、MF阿部陽菜多が右足でミドルシュートを流し込みこれが決勝点となった。

今大会は準決勝で敗れたが、0-0からのPKでの敗戦と出場チームで唯一、無失点で終えた。

「守備第一優先でとにかく守備をしっかりとまずはやって、良い守備から良い攻撃というところを選手には落とし込んでいます。“個でのアプローチ”と言っているんですけど、ファーストで“個でのアプローチ”をかけて奪いにいく」守備がハマった。また、「いままでになかった守備の固さという部分でちょっと期待出来るかなと」と指揮官がいうディフェンス力は今年の特色だ。

クラブ名に入る「TOKINAN」の文字の通り、数多くのトップ選手たちを輩出してきた「戸木南ボンバーズFC」が母体。クラブ代表を務める田中治夫代表は日本代表MF長谷川唯(ウェストハム)やDF土光真代(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)といった選手たちを育てた名代表だ。

スクールを主体に活動していたGRAMADOがJYを引き継ぐ形で2017年に「GRAMADO FC TOKINAN」名義でスタート。2年目の2018年からは3年連続で関東大会出場を果たしている。

昨年は4年ぶりに関東出場を逃したが、「今年は何が何でも全国というところを目標にしていて、関東は通過点という形で選手にも話しています」と川辺監督も言うように今季はGRAMADOとして初の全国大会出場を掲げている。今年のエースで昨年の代でも出場した山本は「去年は県予選で負けて悔しい想いをしたので、今年は全員が練習から球際や切り替えなどを意識して全国に行きたい。今年は絶対に全国大会に出場して、全国でも良い成績を取る」と力強く語った。

石黒登(取材・文)

試合結果

越谷LF 0-1 GRAMADO FC TOKINAN
0(前半)0
0(後半)1