J以外では20年ぶりの快挙! 快進撃見せるLAVIDAがついに決勝到達。「Jを倒す」掲げスタート、悲願の日本一にあとひとつ

「高円宮杯 JFA 第33回全日本U-15サッカー選手権大会」準決勝が25日、味の素フィールド西が丘で行われ、FC LAVIDAが4-1で鹿島アントラーズつくばで下し、決勝進出を決めた。

夏冬含め初の全国4強入りを果たした準々決勝に続き、LAVIDAがまたしても快挙を達成した。

立ち上がりは固さもあり、相手のロングボール攻勢に苦戦した部分もあったが、GK白根翼(3年)がFKを横っ飛びでセーブしたり、DF鈴木翔(3年)が最後の部分でカバーに入るなど崩れず。そして中盤過ぎからは徐々にチームのストロングである個の仕掛ける力を見せていく。

ボランチの甲斐田裕大(3年)がドリブルで持ち出しながらゲームメイク。また、中盤の並びを変えた前半30分過ぎには注目10番のMF山口豪太(2年)、「流れが悪い中でもよくやっていた」と指揮官も評価するMF本田健晋(3年)が連続して好突破を見せてゴールに迫っていく。

少しずつ得点の匂いを感じさせると、スコアが動いたのは前半38分。FKのリスタートからパスを繋ぎ、FW中村公亮(3年)が左サイドに叩く。スピードに乗った本田がタッチライン際まで抉りマイナスクロスを入れると、走り込んだ中村が右足で合わせ今大会初ゴールで先制した。

これで流れを引き寄せたLAVIDAは後半一気に攻める。11分には主将のFW鄭志錫(3年)とDF西村虎太朗(3年)を投入し、前線をてこ入れ。西村はDF登録だが、1トップに入った。

後半21分、コーナーキックのこぼれ球を鄭が右足で蹴り込み追加点。27分には甲斐田が運び、エリア右でボールを受けた山口が左足でビューティフルゴールをネットに突き刺した。山口はMF長瑠喜(2年)とともに昨年1年生ながら全国のピッチに立ち8強進出に貢献。今年は2年生ながらエースNo.10を背負う逸材であり、8月の裏全国とでもいうべき「東日本インターシティトリムカップEast」では大会MVPにも選ばれ、クラブユース選手権の優秀選手で構成され、過去には日本代表選手も多数輩出する「メニコンカップ2021日本クラブユースサッカー東西対抗戦」の出場権も獲得した選手だ。(その後新型コロナウイルス感染拡大により中止に)。

後半31分にはMF鈴木宏幸(3年)のシュートのこぼれを西村が右足で突き刺した。これで西村と鄭は大会4ゴール目となり、得点ランキングトップタイに浮上。今大会はともに途中出場が多いが、限られた時間の中でも結果を残す2人のチームメイトが得点王争いを繰り広げている。

終盤に1失点はしたものの、試合を通じ安定した戦いを見せたLAVIDAが決勝進出を決めた。

Jクラブ以外が決勝に進出するのは2001年の東海大第一中以来、実に20年ぶりの快挙。村松監督は「最初作った時はJを倒すというところで、その意識はものすごく強くやっていた」と話す。

その中で「ただ倒すために、日本一を取るために、こういうJにはなかなかないような感じのサッカーに切り替えた部分はある」。もともとはJクラブが志向するようなパスサッカーを目指していたが、打倒Jクラブを果たすべく、個人を磨き上げ、どんどん仕掛けていく現在の形に。この日対戦した鹿島アントラーズつくばも次々に仕掛けてくるこのサッカーを相当嫌がっていた。

「(個の力というのは)ものすごく大事にしていますし、そういう選手がしっかり守備の理解をする、ゲームの展開を読む、そのへんのところはトレーニングでやっているので、試合前のミーティングなんかもあまりしなくてもOKという感じでいまは持って行っています。それでも選手が開始5分、10分で相手を見て守備の感じ、全体をイメージ出来るという感じにしている」。

その成果も出ており、2012年創設と若いチームながら、今年関東1部リーグで連覇を達成した。

タレント性でいえば初出場となったクラブユース選手権で全国ベスト8を果たし「LAVIDAの〇番といえばこの選手」を確立、その後年代別代表や昌平高で活躍するMF荒井悠汰、MF佐藤海空斗、MF篠田翼(現高2)のいた2年前、年代別代表の常連だったFW小田晄平(現高1)らを中心に高円宮杯で2年連続の全国8強を成し遂げた昨年の代の方が上だというが、それでもここに来てチームは「そこの学年にも近づいてきている」と村松監督も選手たちの成長を語る。

決勝の相手は連覇を狙うサガン鳥栖U-15に決定。ここ5年で4度の決勝進出を誇る3種の“ラスボス”的存在で、LAVIDAは昨年準々決勝であたり、スコアレスからのPK戦で涙を呑んだ。

村松監督は「ちょっと形も変わっていますし、やっぱり注意しなきゃいけない選手はいる。そこをちゃんと消す部分は選手にも少し話はしようかなと思いますけど、ただ3(バック)で来ようが、4(バック)で来ようが、どちらも関東リーグのチームで体験はしているので、特に心配はしていない。いままでと変わりなく、相手の良さを消すというところと、自分たちの良さを出すというところを継続してやっていきたい」とし、中村は「やっぱり街クラブでもJに勝てるというところを優勝して見せつけたい」と初優勝が懸かるファイナルに向け、強い気持ちを示した。

石黒登(取材・文)

試合結果

FC LAVIDA 4-1 鹿島アントラーズつくば
1(前半)0
3(後半)1