成長と結果、両方を貪欲に求めた西武台がプリンス関東1部参入を決める! 選手権にも弾み

成長と結果を求めた西武台が2連勝でプリンス1部参入を決めた。「高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2021関東1部参入戦」の決定戦が21日に行われ、西武台は関東第一(東京)を相手に先制を許すもMF松原海斗(3年)のゴールで追いつき、2戦連続のPK戦を制した。

「彼らに選手権で良い形でさせてあげたいという気持ちもあるし、かといってこんなチャンスないからこそ1部に上がりたいという気持ちもあるし、そのひとつひとつの流れの中で自分の気持ちもいろいろと揺れ動いていたところもあった」と守屋保監督は戦前の葛藤を振り返る。

選手権の開幕まで残り1週間ということを考えれば、最後のレベルアップの場としてのある意味“試し”というところも必要。それでも今年は来季からプリンスリーグが2部制となることで、この戦いに勝利出来れば一足飛びで2つ上のプリンス関東1部に上がれるチャンスでもあった。

指揮官は「揺れ動く中でやっぱりどうにかしてあげたいなと。ここでもうひとつ成長してもらいたい。3年生は大学に行ってまたサッカーをやる、そこを目指す子が多い。ただ単に後輩たちのためじゃなくて、自分たちのためにということをずっと言ってきて、自分の成長の場としてこういう戦いが出来るということを自覚させた」と成長を求め、そしてその中で結果にもこだわった。

西武台は序盤、初戦の鬱憤を晴らすかのように相手コートに押し込む。パスを繋ぎながら、DF原田蓮斗(3年)、DF安木颯汰(3年)の両SBが高い位置を取って攻撃し、セットプレーを獲得。前半のコーナーキックは8本を数えた。しかし単調になってしまう場面が多く、決定機を作るには至らず。前半36分にMF丸山実紀(3年)のマイナスのクロスにMF和田力也(2年)が走り込んで合わせたが、相手のシュートブロックに遭ってしまいゴールとはならなかった。

逆に関東第一に前半12分、ショートコーナーからDF堀井榛人のクロスのこぼれをMF藤井日向(ともに3年、アレグレ出身)に決められ、1点ビハインドで試合を折り返すこととなった。

西武台はこの状況を打破するべく、後半15分から単騎でも相手の守備網を崩すことが出来るMF松原海斗(3年)がピッチへ。するとこの交代がぴたりと嵌った。投入から6分後の後半21分、MF岡田瑞生(3年)の縦パスに抜け出した松原が右足で冷静にネットに流し込んでみせた。

勢いに乗る西武台はその数分後にも松原が決定機。また守備でもGK淺沼李空(3年)が相手エースとの1対1を制しチームを救うファインセーブを見せる。後半終了間際には丸山が、延長前半には安木が放ったシュートがポストに当たるなど、惜しい場面を連発。そして延長終了直前には“PKキーパーの”中嶋望(3年)を送り出し、勝負の行方は2戦連続のPK戦にもつれ込んだ。

淺沼からバトンを受け取った中嶋は相手に正対すると、ぎりぎりまで飛ばずに堪えて2本目と4本目をきっちり読み切ってセーブ。西武台も4本目を外したが、5人目のキッカーDF長谷川智紀(2年)がしっかりと沈めて今年の目標のひとつとしていたプリンス関東1部参入を決めた。

そして前述のように結果とともにベースアップも実現。後半は相手のエースを封じるためにMF吉野光(3年)を左サイドに置いたり、本来前線で張るFW市川遥人(3年)にトップ下でポイントとなることを求めた。また、スタメン出場するはずだった松原を切り札とすることで、最大のストロングである飛び出しという能力を再確認させたことも大きい。そういった中で「良いものに替えられたなと思います」と指揮官も振り返るように実践の中での良い試しの場となった。

2連勝でプリンス1部昇格と最高の形で選手権へ。それでも選手たちは試合が終わると浮かれることなく、次を見据えていた。主将の原田は「2連勝でこういう勝ち方というのは自信に繋がる。ですけどやっぱり課題もまだまだたくさんある。選手権に向けてあとちょっとしかないですけど、気持ちの面であったり、準備をしっかりとしていきたいと思います」と気を引き締めた。

石黒登(取材・文)

試合結果

西武台 1(4PK3)1 関東第一
0(前半)1
1(後半)0
0(延前)0
0(延後)0
4(PK)3