強豪対決はまさかの大差に。西武台が武南を4発撃破!全国を強く意識してきた“第100回世代”が11年ぶりに扉を開くか

選手権埼玉県大会準決勝。西武台と武南の強豪私学対決は、4-0で西武台に軍配が上がった。

強豪同士の好カードは意外な大差に。西武台は積極姿勢が表れた“最高”の前半で勝負を決めた。

守屋保監督は「本当に子供たちもよく理解しながら戦ってくれた。相手の良さを自覚し、しっかりとリスペクト出来ていた。そういうチャレンジ的な形でなにしろ相手に負けないという気持ちで、ひとつひとつのプレーが得点までにうまく繋がったんじゃないかなと思います」と讃えた。

武南のドリブル突破、切り替えの縦パスという特徴をきちんと跳ね返しながら、奪ったボールをフィニッシュまで結び付けていく。攻撃ではこの日スタメンに復帰し、「安木が入ると攻撃に深さや広さが生まれる」と指揮官も信頼する左SB安木颯汰(3年)がひとつポイントとなった。

前半5分、ショートコーナーから安木のクロスを185cmのDF河合陸玖(2年)が打点の高いヘディングで叩きつけて2試合連続のゴールで先制。さらに9分には自陣左でボールを奪った安木がルックアップして前線にロングスルーパスを供給する。これを受けた今大会初スタメンのFW松原海斗(3年)が内にカットインしながら右足をコンパクトにスイングして仕留めた。

さらに引水前の前半19分にはMF和田力也(3年)のロングスローからDF武笠隼季(3年)が競ったボールを安木が流し、最後は10番FW市川遥人(3年)が決めて今大会5点目。38分にはDF原田蓮斗(3年)主将にもゴールが生まれるなど、前半だけで4得点をマークした。

一方、まさかの前半4失点を食らった武南もハーフタイム明けからシステムを変更。攻撃力や引き出しの多さに定評があるCB中村優斗(3年)主将をボランチに上げ、前に行く姿勢を示す。

後半1分には10番MF松原史季(1年)のフリーキックがゴールを強襲したが、西武台の守護神・浅沼李空(3年)が好守で弾き出す。直後コーナーキックからDF重信有佑(2年)が、5分には波状攻撃から最後はFW櫻井敬太(2年)が狙ったが、前者は武笠がライン上で気合いのクリア、後者は河合が身体を投げ出した守備でブロックするなど、黄色い壁が立ちふさがった。

西武台は20分に丸山のシュートがクロスバーに。後半はスコアが動くことはなかったが、終始安定した戦いを見せた西武台が4-0で勝利し、11年ぶりの選手権出場に向け決勝に進出した。

今年の3年生は1年時から自分たちが最高学年となる“第100回大会で全国”、というのを強く意識してきた代。松原は「中学3年の頃に守屋先生や関根(雄太)先生に今年は相当力を入れるからと言われて、西武台なら選手権に出られるんじゃないかと思った」と明かす。レッズJY出身の浅沼は「選手権に強い憧れがあった。もう高1の頃から第100回大会を考え続けて、3年になってからはこの大会をずっと意識しながらすべての試合に臨んできた」と言葉に力を込めた。

西武台が最後に選手権に出場したのは第89回大会。その時はFW清水慎太郎を擁し全国ベスト8まで勝ち上がった。3年間全国を強く意識してきた“第100回世代”が11年ぶりに扉を開くか。

石黒登(取材・文)

試合結果

西武台 4-0 武南
4(前半)0
0(後半)0