浦和南が立教新座を退け、決勝進出!3年前の再現へ、いま一度「塊」となって優勝を狙う
選手権埼玉県大会準決勝。3年ぶりのVを狙う浦和南は立教新座を下し、決勝進出を決めた。
浦和南はいつも通りシンプルに縦に配球し、セカンドボールの回収率を高めてゴール前に迫る展開。対する立教新座は準々決勝からシステムを変更。MF熊谷哲人(3年)がCBの間に入る形で5バックを形成しまずは守備を安定させ、後ろからボールを動かしながらリズムを掴みにいく。相手の要注意選手、MF大里直也(3年)にはDF三浦航(3年)主将がついて対応した。
浦和南は序盤、相手のシステム変更に苦しんだが、徐々にそれにも対応していくと引水明けにはDF坪井優太(3年)主将のクロスをDF井上喬介(3年)が落とし、MF坂本空翔(3年)がダイレクトシュート。これは惜しくも右に外れたが、ダイレクトプレーからチャンスを作る。
すると前半30分に均衡を破る。ゴールを決めたのは10番大里だ。野崎正治監督から「決定的な仕事をしろ」と言われているエースは、右足でチョンと出して瞬間的なスピードでディフェンス陣を翻弄しエリア左を抉る。そして最後は右足で強烈なシュートを叩き込んでみせた。さらに浦和南はアディショナルタイム、スローインからの展開からDF安田航大(3年)の正確なクロスをFW立沢太郎(2年)が軸のぶれないヘディングで流し込んで2-0とし、前半を終えた。
立教新座は後半、越谷西戦でも得点に繋がったFW齋藤洋大(2年)のロングスローからゴールを狙うが、浦和南GK黒田海渡(3年)が抜群の安定感を見せハイボールでは負けなしだった。
なんとか1点を返したい立教新座は後半29分、昨年関東1部制覇のFC LAVIDAで活躍したMF河下楽(1年)を投入。背番号14のドリブルから好機を作る。36分には河下がDFを引きつけて中央のフリーエリアへ絶好のパス。齋藤洋が決定的な場面を迎えるが、ここも黒田が立ちはだかり、こぼれ球を狙ったMF見山優(1年)のシュートも枠を捉えることが出来なかった。
浦和南は終盤にもカウンターからMF奥村青葉(3年)がダメ押し点。3-0完勝を果たした。
それでも浦和南・野崎監督は「今日は内容はなかった」と不満を残した様子。決勝に向けては「何しろやっぱり接戦に持ち込みたい。ディフェンスをしっかりやらなければやられてしまうと思うので、1週間調整じゃなく「鍛えます」。肉体面と精神面、『塊』になるということ」とした。
この『塊』という言葉は3年前に浦和南が全国に出場した代でも野崎監督が繰り返した言葉だ。宿敵・昌平との激闘を制し、実に17年ぶりの栄冠に輝いたファイナルの後はこう語っていた。
「『塊』は土偏に鬼と書く。じゃあ鬼ってなんだ。鬼は非常無比。『魂』はどう書くか。鬼が云ったことを伝えるんだと。俺やコーチが伝えたことを胸にしまってプレーせよ。それが魂ということ。昭和のサッカーと言われても私が批判を受ければいい。でも子供たちは本当にその通り、鬼の云うことを魂を持ってやってくれたなと思います」。
3年前の再現へー。浦和南はいま一度、チーム一丸、強固な『塊』となって優勝を取りに行く。
石黒登(取材・文)
試合結果
立教新座 0-3 浦和南
0(前半)2
0(後半)1