令和元年度 全国高校総体 埼玉県予選準決勝 武南 vs 西武台

インターハイ予選準決勝。3大会連続の4強入りとなる西武台高校と関東予選覇者・武南高校の一戦は、2ー2からのPK戦の末に西武台が勝利して、4年ぶり11度目の決勝進出を決めた。

縦への鋭さや球際の攻防で徐々にペースを握った西武台は前半32分、MF寺川洋人の左コーナーキックをニアでMF村田智哉が身体を捻りながらヘディングで突き刺して均衡を破った。

一方、前半はシュート1本に終わった武南も後半仕掛ける。4分、中央でパスを引き出したMF青野翔太がトラップでマーカーを剥がして右足で狙うも惜しくもゴール上。直後には左サイドから連続してパスを繋ぎ、こぼれを青野が狙ったがシュートは枠を捉えることができない。

それでも武南は後半33分、左サイドバックの安野天士のクロスにファーサイドで抜け出したFW大谷涼太が右足で決めて土壇場で同点に。さらに延長前半1分にはMF鈴木豪流のポストプレーを、MF鈴木宏武が右足で豪快に左のサイドネットに突き刺してついに逆転に成功した。

しかし、ゲームはここで終わらなかった。延長後半3分、西武台はMF高嶋亮佑とのワンツーから抜け出した左サイドバックの栗田海飛がカットインから豪快にネットを揺らして2ー2。

西武台は3回戦の浦和南戦、準々決勝の正智深谷戦と、PK勝利に大きく貢献したビッグセーバーの高橋クリスを送り出す中で試合は100分を超え、PK戦にもつれ込んだ。するとPKでは三度、高橋が大活躍。1ー1で迎えた2本目から怒涛の3連続ストップを決めて勝利を掴んだ。

これで強豪相手に3戦連続のPK勝ち。前週の浦和南戦後、守屋保監督は今大会について精神的な強さや戦う部分を求めていきたいと話していたが、それが結果として現れてきている。

「よく全国大会になると雑誌で5段階評価のグラフが出ますが、お前らは技術も身体能力も体力も「2」だと。でも心だけでも「4」になれればそこは長けることができると送り出した。

他は+(プラス)にしかならないけど、心だけはー(カケル)になれるんじゃないのと。今日の試合で「3」になってくれたのかなと思う。次の試合で「4」になれれば技術の方も上がってくるんじゃないかな」と指揮官は心の成長が選手のレベルアップに繋がることを期待した。

準決勝で前代未聞の3連続PKストップ! 駒場スタジアムが「クリス劇場」と化す

一本止める度にどよめきが起こっていく。この日駒場スタジアムが「クリス劇場」と化した。

3回戦の浦和南戦で1本、準々決勝の正智深谷戦は2本のPKを止めた西武台のビッグセーバー、高橋クリス。この日も延長後半、栗田のゴールで同点とすると高橋にお呼びがかかった。

「試合前に武南のPKを見ていて、1本目はそれ通りに飛んだんですけど、逆を取られてデータを分析されているのはわかっていたんだなと。あとはもう感覚で飛びました」。2本目を右に飛んで止めると、3本目は左のコースをついたキックに飛びついてセーブ。4本目もキックの瞬間まで耐えて得意の右で仕留めて、この大舞台でなんと3連続ストップで勝負を決めた。

指揮官もデータいらずと語るPK技術は、以前にも書いたように全体練習後に有志で行われるPK練習で培われたもの。「日頃からいろいろな子のPKを受けて、体型や蹴る体勢、踏み込みのステップだとか、そういう直感が遊びの中で身についている」と守屋監督は分析する。試合前日も練習自体は6時に終わった中で、日暮れ後も仲間たちのPKに付き合っていたという。

これで3戦連続の勝利貢献とポジション奪取に猛烈アピール。本人も「(スタメンも)そろそろ欲しいですね」と静かに闘志を燃やした。決勝に向けては「80分で決めてもらえれば一番なんですけど、PKになったら止められるように、優勝に貢献できるように頑張りたい」とした。

悔やまれる前半40分の戦い… チームとしていかにスイッチを入れられるか

「強いて言えば本当に前半の40分は棒に振ったなと。そこに尽きるというか。こんなに動かないし、こんなにゲームの中で何もできないというのが普通になっている状況に何も感じないのかと。もうそれだけですね」と、武南・内野慎一郎監督は前半40分間の戦い方を悔やんだ。

ハーフタイムには指揮官から喝も飛んだという中で、後半は動きの増えた武南が猛攻を仕掛け、大谷、鈴木宏の得点で一時は逆転に成功したが、その後同点とされPK戦で涙を飲む結果に。

「相手が強くなればなるほど、自分で前のスペースを見つけてサッカーができるかどうか、もっと積極的に前に出ていく姿勢だとか、その動きをゲームの中に作っていくというところはもうちょっといろいろ考えたい。スイッチが入ったら悪くはないと思います。でもそういう雰囲気になるか、ならないかというところは、やっぱりチームの中でも大きなところ」(監督)。

チームとしていかにスイッチを入れられるか。選手権予選に向けてはそのあたりがひとつポイントとなってきそうだ。

石黒登(取材・文)

試合結果

武南 2(1PK3)2 西武台

0(前半)1
1(後半)0
1(延長前半)0
0(延長後半)1
1(PK)3

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