宮代が粘りを見せて2年連続のベスト16。話し合いの中で構築されたチームの強い「一体感」
女子選手権予選2回戦。宮代と正智深谷の一戦は、3-2で競り勝った宮代に軍配が上がった。
両チームは今年夏に一度対戦。その際は正智深谷が大差で勝利していた。「きちんとプレスをかけてショートカウンターというのをメインでやっていて、そこは負けてから徹底的にやってきた。それがうまくいったかなと思います」と宮代・萩原育未監督は試合の入り方を振り返る。
良い立ち上がりを見せた宮代は前半13分、10番MF安部真奈(3年)のコーナーキックが直接決まり先制。その1分後にはMF佐藤葵(3年)がセカンドボール奪取から追加点を奪った。
しかし、その後は正智深谷がペースを握る。FW大河原叶愛(1年)のシュートはクロスバーを叩いたが、前半34分、MF小林妃那(2年)が直接フリーキックを決めて反撃の狼煙。さらに後半9分には途中出場のDF加納小遥(3年)が右足のミドルを突き刺して同点に追いついた。
宮代としては苦しい時間が続いたが、「技術とかは正智さんの方が強かったと思うんですけど、でもやっぱり「踏ん張る」というところに関しては自分たちの方が1枚上」と語ったキャプテンのDF富田理々花(3年)が最後方で声を出しながら、チームはここ一番の粘り強さを見せる。
すると守備陣の奮闘に攻撃陣が応える。後半33分、コーナーキックのこぼれ球を収めたのは佐藤。「最後絶対に負けたくなくて、自分の出来るプレーを最後までやるように頑張りました。いつもはコーナーは触れないんですけど、今日触れたのはすごく成長したなと思います」。強い気持ちの乗ったシュートがネットに突き刺さりこれが決勝点。試合終了のホイッスルが鳴ると「もう嬉しかったですね。仲間の顔を見て涙が出ました」という富田を中心に歓喜の輪が広がった。
「ほとんどが素人。キャプテンもソフトボール部出身。そこはほかのチームとちょっと違う中で、本当にチーム一丸となれるようなチーム作りをしたのが今回良かったなと思います」(監督)
チームの特色は「一体感」。そのチーム一丸の気持ちを深めるために、練習や試合後は内容が良い時も、悪い時もミーティングを実施。常に話し合いながらチームとしての団結力を育ててきた。
その中心にいるのが富田だ。「視野を広くして、誰かが暗い顔をしていたら練習後に話を聞いたり、何か部活内であったらすぐにミーティングを開いたりしています。あとは自分が場を和ませることを意識しています。そこは歴代のキャプテンと違うところかなと。人を笑わせることが好き」と話す人を笑顔に出来る才能がある主将のもと、雰囲気の良さは試合の中から感じるところ。
初となった昨年に続く2年連続の16強進出。その裏にはチームの強い「一体感」があった。
石黒登(取材・文)
試合結果
宮代 3-2 正智深谷
2(前半)1
1(後半)1